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これからの治験薬データベースを考える-その2―データベースの機能比較と利用状況調査―下
医薬情報ネット21
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2005 年 48 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

医薬品研究開発の重要な情報源である治験薬データベース(以下DB)に関して平成12年に実施した調査 1)以降の動向をフォローし,当該DBの最新動向と課題,およびユーザからの要望を明らかにした。本稿はその下編で,上編 2)に続きIDdb,Integrity(以下INT),Pharmaprojects(以下PPJ),R&D Insight(以下RDI),R&D Focus(以下RDF),明日の新薬(以下 明日新)の主要6DBについて特定の会社名および作用機作名で検索し,その比較から各DBの網羅性,信頼性,速報性を評価した。その結果,単純比較では前臨床試験段階の化合物の収録が多い複合型DBや,情報収集年数が長いDBの網羅性が高くなったが,完璧な網羅性を示すDBは存在しなかった。次に,最も重要な情報のひとつである開発ステージ情報がDB間でかなりの差異があることが前回調査と同様明らかとなった。また作用機作名検索では,各DBが指定する作用機作キーワード(以下KW)検索だけでは6DBとも検索漏れを生じることがわかった。さらに単一型DBが継続して利用されるのは,臨床試験段階や一般的な治験薬の収録が複合型DBと比べて遜(そん)色がないことと,6DBすべてが網羅性や信頼性の面で必ずしも満足できないことによるものと推測された。最後にDB製作ベンダー各社には,治験薬DBのWeb版化と大規模化指向の中においても,DBの根幹に関わる基本データの質的向上にも努力すべきと提言する。

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© Japan Science and Technology Agency 2005
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