抄録
電子ジャーナルのアーカイブへのアプローチには,集中型と分散型がある。本稿は,アーカイブ中のコンテンツへのアクセスという観点からそれらを考察する。集中型では,アクセスはこれまで限定的なものとされてきた。より広いアクセスの経路として,過去の購読者や,発展途上国からのものが考えられる。NESLi2やHINARI(The Health InterNetwork Access to Research Initiative)などがそれらへの示唆を与えている。分散型(LOCKSS)では,アクセスは,アプライアンスどうしの監査目的の場合と,出版社のサーバが利用不能になった際に読者に提供される場合がある。LOCKSSの体制が妥当なものかどうかを判断するためには,全体的な視点からのコスト分析が必要である。