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講演紹介
学習へのデジタルライブラリーの利用:G-ポータルの経験
LIM Ee-Peng講演要約 長塚 隆
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2005 年 48 巻 9 号 p. 596-601

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抄録

本稿は,2005年8月27日に鶴見大学会館ホールで開催された鶴見大学ドキュメンテーション学会・司書講習主催による第2回デジタルライブラリー国際セミナーでの講演を要約し,紹介するものである。講演者であるEe-Peng Lim準教授(シンガポール,ナンヤン工科大学コンピュータ工学部)は,デジタルライブラリーの分野で精力的な活動をしている。当日の講演会には,外部からの参加者や司書講習の受講生など約150名が参加し,活発な質疑が交わされた。本講演で,Lim博士は,現在ではデジタルライブラリーは大学が所有する貴重書などをデジタル化し,インターネットで紹介するようなタイプが中心であるが,最近では学習活動のための情報源や支援システムとしてのデジタルライブラリーを利用していこうとの研究が始まっていると指摘した。
そのうえで,現状では,デジタルライブラリーの研究者や教育研究者にとって,デジタルライブラリーがどのように学習を支援できるかは,必ずしも明確ではなく,デジタルライブラリーは単に情報源の保存場所なのか,あるいは,ある種の教育ソフトウエアなのか,というようなことも問われていると指摘した。
Lim博士が実際に取り組んできたシンガポールの学校授業での地理教育のために構築されたデジタルライブラリーシステムG-ポータルを紹介し,今後の教育にデジタルライブラリーシステムが大きな役割を果たすであろうと展望した。G-ポータルでは,地理的な関連付けをしたWebコンテンツを対象としており,実際のシンガポールの海岸での生徒によるフィールド調査の結果などを反映できるシステムになっていることが,紹介された。最後に,ここで得られた経験が,学習を目的とする他のデジタルライブラリーの設計に役立つものであることを期待していると表明された。

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© Japan Science and Technology Agency 2005
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