抄録
研究開発に関わる情報は企業にとって経営の根幹ともなる機密情報である。大学にとって,産学連携は重要な取り組みであるが,これまで大学ではこうした研究情報の管理体制が脆弱(ぜいじゃく)であり,それが産学連携の推進を妨げる要因ともなっていた。本論文では,記録情報管理システムを取り入れることによって研究情報の管理体制を強化した九州大学知的財産本部の産学連携に関する情報管理の現況を報告した。目録管理と所在管理が適切に行われるような仕組みを作ることが重要であり,文書種類別に機密度を設定するなど,実践しやすさを心がけている。その実践の上で,産学連携をさらに発展させるために必要となる要件を整理し,今後情報管理に求められる課題について展望した。