Journal of Information Processing and Management
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Michiharu NAKAMURA
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2013 Volume 55 Issue 10 Pages 703

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『情報管理』はこのたび刊行55周年を迎えました。これまで,多忙な中で執筆や編集の労をとっていただいた方々や,長年ご愛読いただいた読者の皆様に,心からお礼を申し上げます。

本誌は,科学技術情報の生産から整備,流通,活用にいたる「情報のサイクル」を活性化させて科学技術振興の基盤整備に寄与し,イノベーションの創出に資することを目指しています。

21世紀の地球社会が直面する諸課題の解決や,わが国の産業競争力の向上,あるいは科学の進歩にとって,科学技術情報は欠かせないものになっています。また,昨年の東日本大震災や福島第一原子力発電所事故への対応を見ても明らかなように,国の政策決定において,科学技術情報が極めて重要な役割を果たします。科学技術に関する情報力は,国力そのものと言って過言ではありません。

このような中で,対象となる科学技術情報は,文献情報に加えて,実験や観測,シミュレーションにより得られるデータや,映像など多様化が進み,情報量も指数関数的に増大しています。さらに,必要な情報へのアクセシビリティに対する要請も高まっています。

私は,企業の研究員時代に,広帯域光ネットワーク用半導体光源の研究に携わりましたが,近年の情報通信システムの高速化,大容量化,低コスト化技術の進歩には目を見張るものがあります。また,収集・選択・整理・保存などに関わる計算機技術も日進月歩の状況にあります。さらに,情報の利活用において重要な個人情報保護やセキュリティについても,リスクを回避するための技術開発や新しい社会的合意の形成に向けた努力が続けられています。

JSTは現在,科学技術イノベーションによる社会の持続的発展と競争力強化を目指して,戦略的創造研究,企業化開発などのバーチャル・ネットワーク型研究と,情報事業,理数系人材育成,科学コミュニケーションなどの事業を進めています。この中で,情報基盤に関する研究開発や,国内の科学技術情報データベースの統合と利活用を目指した情報事業に重点的に取り組んでいますが,わが国の情報力を向上させ,イノベーションの創出に貢献する上で,本誌がさまざまな関係者をつなぐ媒体として発展していくことを祈念します。これからも,皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 理事長 中村 道治

 
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