Journal of Information Processing and Management
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The dawn of a new era of “JOHOKANRI”
Mitsuru MIZUNO
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2013 Volume 55 Issue 10 Pages 704

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日頃より『情報管理』をご愛読くださいまして誠にありがとうございます。新しい年を迎えるにあたり,一言ご挨拶を申し上げます。

情報の世界で最も流行ったキーワードは「ビッグデータ」でしょうが,ビッグデータはデータベースを整備する立場の者にとって,ここ数十年に訪れた変化の中で最も大きなものになりそうです。メインフレームからサーバーへ,CUI(文字列)端末からGUI(グラフィック)端末へ,専用回線からインターネットへと,技術基盤が進化するにつれ情報サービスも大きく変わってきました。しかし,これらの変化の中でもよいデータベースを作るには分類や標準化,また,きめ細やかなエラーチェックをかけ,いかにデータを整理して提供するか,ということには変わりありませんでした。一方で,ビッグデータに向き合うのは,いかに整理しないまま有効な情報を取り出すかであり,難しいのはビッグデータに関わる新しい技術を理解することよりも,整理をしないという居心地の悪さを受け入れることなのかもしれません。

先日行われたINFOPRO2012において,「地域活動の必要性と問題点」と題する発表がありました。「アウターネットの会」というつくば市の製薬会社の情報担当者の交流会による地域活動についての考察です。その中で,メンバーが初心者でなくなると知識欲求の方向が多岐にわたってしまう,ということが組織運営の難しさとして挙げられていました。確かに,成熟したコミュニティーの中で全員の欲求を満たす知識を提供するのは容易なことではありません。本誌にあてはめると,すべての読者が共通して知りたいと思っているテーマを取り上げ,ということになるのでしょうが,そうしたテーマを見つけるのはもはや不可能です。個人あるいは組織の取り組みや技術のトレンド,新しいものや熱いものを幅広く取り上げていく中で少しでも読者の心に響くものがあれば,よしとすべきなのだと思います。昨年最も多く読まれた記事は村田真さんによる「電子書籍フォーマットEPUBと日本語組版 日本でメインストリームにいる人間は国際標準化の舞台ではまず勝てない」(55巻1号)でした。標準化の内容に興味のある読者ももちろんいらっしゃったのでしょうが,いかにして世界と戦い日本の主張を通してきたか,戦いに勝つためにはどうすればいいか,という「兵法書」としての力強い文章に多くの読者が惹かれたのでしょう。

伝える力を強くするには,文字だけでなく画像や動画を利用するのも一つの方法です。本誌もようやくJ-STAGE3でのXML化のメリットを発揮できる環境が整い,今号で喜連川優先生が素晴らしい記事をご用意くださいました。ぜひご体験ください。今後もこうした環境をフルに活用して,斬新な記事を送り出していきたいと思います。

今後ともご愛顧くださいますようよろしくお願い申し上げます。

  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 情報提供部部長 水野 充

 
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