ついに山中伸弥氏が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。翌10月9日,各紙朝刊のトップ記事はこの明るいニュースでした。一方,受賞決定の直後,山中氏をかたる人物がツイッターで「ノーベル賞キターーーーーー! ヽ(‘ ∇‘ )ノ」とつぶやき,返信が38,000件以上あったとのこと。京都大学iPS細胞研究所から「山中はtwitterによる情報発信をしておりません」と公式発表があって騒ぎは収まりました。悪質な成り済まし犯罪のニュースも流れています。情報倫理,研究倫理の検討が不可欠だと感じました。
今年は「ビッグデータ元年」あるいは「ビッグデータ活用元年」と言われています。「ビッグデータ」はバズワードかもしれませんが,「いま」を語るには欠かすことができません。今号の「ビッグデータの時代」は,2007年に「データの心」と題して科学技術データの共有と活用の課題を取り上げた元CODATA会長の岩田修一氏のご寄稿です。わたしたちが「いま」を理解し,これからを考える際に役立つ記事です。「データの心」と合わせてお読みいただければと思います。
米国特許法が改正されたことで,情報担当者はどんな点を注意したらよいのでしょうか。そんな疑問に答える記事を,米国在住の弁護士・弁理士の山田有美氏にご寄稿いただきました。法改正されても,改正法の適応対象は徐々に増えていくのであって,しばらくは旧法が主流とのこと。また多岐にわたる改正点のうち情報担当者に関連の深い点を取り上げていただきました。
今回,初めて集会報告で取り上げたBioHackathonの記事は,見慣れない用語が多いかもしれません。用語解説をつけることも考えましたが,誌面が足りません。こんな世界があることをご紹介するにとどめましたので,必要に応じてWebを参照していただければと思います。「情報のいま」をお伝えできれば幸いです。 (KM)