情報管理
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編集後記
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2012 年 55 巻 8 号 p. 620

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ついに山中伸弥氏が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。翌10月9日,各紙朝刊のトップ記事はこの明るいニュースでした。一方,受賞決定の直後,山中氏をかたる人物がツイッターで「ノーベル賞キターーーーーー! ヽ(‘ ∇‘ )ノ」とつぶやき,返信が38,000件以上あったとのこと。京都大学iPS細胞研究所から「山中はtwitterによる情報発信をしておりません」と公式発表があって騒ぎは収まりました。悪質な成り済まし犯罪のニュースも流れています。情報倫理,研究倫理の検討が不可欠だと感じました。

今年は「ビッグデータ元年」あるいは「ビッグデータ活用元年」と言われています。「ビッグデータ」はバズワードかもしれませんが,「いま」を語るには欠かすことができません。今号の「ビッグデータの時代」は,2007年に「データの心」と題して科学技術データの共有と活用の課題を取り上げた元CODATA会長の岩田修一氏のご寄稿です。わたしたちが「いま」を理解し,これからを考える際に役立つ記事です。「データの心」と合わせてお読みいただければと思います。

米国特許法が改正されたことで,情報担当者はどんな点を注意したらよいのでしょうか。そんな疑問に答える記事を,米国在住の弁護士・弁理士の山田有美氏にご寄稿いただきました。法改正されても,改正法の適応対象は徐々に増えていくのであって,しばらくは旧法が主流とのこと。また多岐にわたる改正点のうち情報担当者に関連の深い点を取り上げていただきました。

今回,初めて集会報告で取り上げたBioHackathonの記事は,見慣れない用語が多いかもしれません。用語解説をつけることも考えましたが,誌面が足りません。こんな世界があることをご紹介するにとどめましたので,必要に応じてWebを参照していただければと思います。「情報のいま」をお伝えできれば幸いです。 (KM)

次号予定

  • ●   情報化先進国としてのシンガポール
  • ●   スマートフォン利用者の個人情報保護:安全・安心な利用環境確保に向けた取り組み
  • ●   Altmetricsの可能性:ソーシャルメディアを活用した研究評価指標
  • ●   医療情報基盤としての電子カルテシステム整備の重要性:勤務医に対するアンケート結果を通じて
  • ●   JSTシソーラスmap:JST辞書の可視化による効果的な検索語の発見
  • ●   研究・実務に役立つ!リーガル・リサーチ入門:第3回 法令:一次情報
  • ●   新興地域の統計事情:第1回 インド

編集委員会

  • <委員長>水野充(科学技術振興機構)
  • <編集委員>小河邦雄(大正製薬㈱)・気谷陽子(筑波大学附属図書館)・小林良子(元㈱日本能率協会総合研究所)・清水美都子(㈶日本特許情報機構)・青山幸太・安部耕造・伊藤祥・川井千香子・木村美実子・栗本達児・黒田明子・黒田雅子・佐藤恵子・土屋江里・火口正芳・日高真子・余頃祐介(以上科学技術振興機構)

編集・発行

  • 独立行政法人 科学技術振興機構
  • 〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
  • 「情報管理」編集事務局
  • Tel. 03(5214)8406 Fax. 03(5214)8420
  • E-mail: joho-kan@jst.go.jp
  • http://johokanri.jp/

 
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