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オープンITS(Intelligent Transport Systems)が拓く未来
小林 茂男
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2013 年 56 巻 6 号 p. 335-343

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著者抄録

2013年10月第20回ITS世界会議東京では開催テーマを「Open ITS to the Next」とした。次世代のITSは,環境・エネルギー・安全・渋滞解消等の交通問題の解決,人々の生活の質の向上を図ることを目指す。また同時に,災害や不測の事態への的確にしてスピーディーな対応という社会の要請に応えることも重要な役割である。そのためにITSは,グローバルに誰にでもさまざまな機会や挑戦のための場が開かれ,多くのプレイヤーが参加できる共通プラットフォームの構築や広域の連携が図れるオープンな形のネットワーク社会を提供していくベースとなっていくことが望まれる。

1. はじめに

1.1 ITSとは

ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)とは,人と道路と自動車の間で情報の受発信を行い,道路交通が抱える事故や渋滞,環境対策など,さまざまな課題を解決するためのシステムの総称である。

ITSは,人や物の安全で,快適,かつ効率的な移動を支えることにより,人間の本質的な移動欲求を実現させ,移動にやさしい豊かなモビリティ社会を実現する役割を担う。ITSは,狭義には情報通信技術を駆使して,車と道路をネットワーク化するシステムとして技術開発が進められてきたが,広義には,次世代ネットワーク型社会構築のシステムである。

ITSは政府戦略の中に位置づけられており,2001年に内閣総理大臣を長とするIT戦略本部が設置され,IT新改革戦略,イノベーション25戦略会議,また産業界の産業競争力懇談会の提言に織り込まれる等,政策レベルでも取り上げられてきた。

安倍政権下での成長戦略「日本再興戦略」1)では大きな柱の1つである新たなIT戦略「世界最先端IT国家創造宣言(平成25年6月14日閣議決定)」2),成長戦略成功の鍵である「科学技術イノベーション総合戦略(平成25年6月7日閣議決定)」3)に取り上げられている。

1.2 ITSへの社会ニーズの変化

社会ニーズは,安全・安心,環境・効率,快適・利便へと拡大し,また,社会構造も情報化,高齢化の進行,地球温暖化への対応,アジアの国や地域の台頭等多様化している。近年では,環境・エネルギー問題の深刻化,世界的な経済危機,新興国・地域の都市化の拡大と自動車の増加による交通問題,先進国における自動車産業の低迷等,自動車を取り巻く環境は厳しくなっている。将来のモビリティについて地球規模で考える必要に迫られている。

ITSはこのような多様化社会において,統合的な視点から新しいモビリティ社会を実現するツールとしての期待がある。

2. これまでの経緯

2.1 ファーストステージ

日本のITSへの着手は世界的にも早く,ITS分野の研究開発は,1970年代の初めから始まった。日本でのITSの草分けは,CACS(Comprehensive Automobile Control Systems)という路車間通信を用いた動的経路誘導システムで,マイクロプロセッサ登場前の段階にあって極めて革新的な研究であった。1980年代の後半からは,車両,道路インフラ,交通管制等個別の官民開発プロジェクトが数多く進められた。

1994年に第1回ITS世界会議がパリにおいて開催され,ITSの世界会議がスタートした。当初はITSの用語もなかったが,1995年横浜の第2回世界会議を機に日本の研究者からITSという用語が提唱され,世界共通の用語として定着した。

1996年7月に国によるITS推進の指針として,関係省庁によって「高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想」4)(以下「ITS全体構想」)が策定され,関係省庁の動きが一本化された。

ITS全体構想では,ITS開発9分野(1),21の利用者サービスが設定された。カーナビ,VICS,ETC,ASV等ITS個別要素技術の研究開発が,積極的に推進され,これらはカーナビの伸びとともに日本のITS成功事例として世界に知られることとなった。下記に代表的な事例について述べる。

図1 全体構想(1996年)における9つの開発分野(出典:ITS Japan注1)

(1) カーナビゲーション

カーナビの出荷台数累計が約5,400万台(2013年3月末現在)に達し,自動車への搭載比率が高まり,もはや自動車に不可欠なものとなっているといっても過言ではない。プローブ情報(走行する自動車からの「位置情報」「時刻・時間情報」「車両識別情報」等の情報)等多様な交通情報が提供され,安全運転支援機能が付加される等進化している。最近では,スマートフォン等のナビゲーション機能が充実しており自動車への影響が出ている。

(2) 道路交通情報システム(VICS)

1996年4月にサービス開始した道路交通情報通信システム(VICS: Vehicle Information and Communication System)車載機の出荷台数累計が3,757万台(2013年3月末現在)に達している。VICSセンターでは,渋滞損失時間改善の経済効果,CO2排出の削減効果,ガソリン等の資源消費の節約効果,交通事故の削減効果を発表している。

(3) ETC

2001年3月にサービスを開始した自動料金収受システム(ETC: Electronic Toll Collection System)注2)対応車載機のセットアップ件数累計が,約4,847万台(2012年4月末)に達し,また高速道路利用者に占めるETC利用率が,88.2%(2013年3月末現在,712万台/日)を超え,料金所の渋滞が大幅に改善されている。また,ETCの普及拡大により,基本技術であるDSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)の応用が検討され,スマートインターチェンジ,駐車場料金収受システム等の社会実験や実用化が進んでいる。

(4) 安全運転支援

先進安全自動車(ASV: Advanced Safety Vehicle)注3)の分野では,夜間運転支援システム,レーンキーピング支援システム,プリクラッシュセーフティシステム,レーダーによる前方障害物検知システム等の先進的な技術開発と車両への搭載が増えている。また,運転心理にまでおよぶHMI(Human Machine Interface)の研究が行われ,ITSの安全運転支援への貢献が顕著である。

なおASVプロジェクトは,2011年度から2015年度までの第5期ASV推進計画が開始されている5)

(5) その他

このほか,ITS全体構想に基づき,交通管理の最適化,道路管理の効率化,公共交通支援,商用車の効率化,歩行者等の支援,緊急車両の運行支援等の開発・展開が行われた。この間情報通信技術が進み,携帯電話技術に代表される多様なテレマティクスサービスの拡大が著しい。ITSの個別技術開発・展開が積極的に行われ,その後の日本のITS発展の土台ができ上がった。

2.2 セカンドステージ

2004年に日本で2回目となる第11回ITS世界会議が名古屋で開催され,この節目からセカンドステージへと進展した。ITSが社会を構築するツールとなっていくことを意識し,社会の概念を入れ,市民参加の視点を取り入れたことが特徴である。

この視点から,産官学の関係者による日本ITS推進会議で検討を進め,ITSが今までの個別技術の開発から社会貢献として進むべき「ITS推進の指針」が取りまとめられた。「安全・安心」,「環境・効率」,「快適・利便」がITS指針の基本概念となっている。

この指針は,2006年1月「ITによる構造改革を目指す」とした「IT新改革戦略」6)に反映され,ITSは安全・環境・利便達成に貢献する技術として位置づけられた。「世界一安全な道路交通社会」を目指したインフラ協調安全運転支援システムの実用化プロジェクトが官民連携のもとでスタートした。

警察では光ビーコンを通じた個々の車両との双方向通信を活用した新交通管理システム(UTMS: Universal Traffic Management Systems)注4),総務省ではユビキタスITS,経済産業省ではエネルギーITS,国土交通省では,5.8GHz帯DSRCによりドライバーへリアルタイムに安全情報等を提供するスマートウェイサービス,および通信を利用して車両相互で位置,速度等の情報を交換し安全運転を支援する先進安全自動車(ASV)等のプロジェクトが推進された。

2.2.1 インフラ協調安全運転支援システム

2006年にITS推進協議会が設置され,交通事故の未然防止を目的としたITSによる安全運転支援システムについて,官民連携で開発・実用化が推進された。2008年度に大規模実証実験,2011年8月から全国の高速道路上を中心に約1,600か所,一般道では,2011年7月から東京,神奈川等に計15か所のインフラを整備し,全国展開に向けた一歩を踏み出した。

交通事故の事故類型分析(2)を見ると,追突事故が高い割合を示している。

図2 事故類型分類(出典:警察庁)

交通事故死者数を減らすために,自動車そのものの安全性の向上を図る一方で,安全運転支援のための装備(自律型安全運転支援システム)の充実を図ってきた。また,車両単独では対処が困難な事故に対して,車と路側通信システムあるいは車相互の情報通信により安全性を高めるシステム(協調型安全運転支援システム)の開発と実用化が進められた(3)。これらの代表的な取り組みを以下に示す。

図3 安全運転支援システム(出典:ITS Japan)

(1) 自律型安全運転支援システム(車両単独の運転支援システム)

先進技術を利用し,ドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した自動車の実用化が進んできた。

一例として,4に示すような「衝突被害軽減ブレーキ」がある。これは,レーダーが常に前方の状況を監視し,ドライバーが前方の車両に気づかずに近づくと警報を鳴らし,ブレーキをかけるよう注意喚起するものである。さらに,追突の可能性が高い場合には,車両が自動的にブレーキを作動させて,追突の回避あるいは追突時の被害軽減を図れるようなシステムである。

図4 衝突被害軽減ブレーキのしくみ(出典:国土交通省)

本システムについては,すでに2014年以降の新型車両(車両総重量22トン以上),2015年以降の登録車両(いわゆる新車)から装着が義務付けられている。

(2) 協調型安全運転支援システム(道路から車両への情報発信による運転支援)

見通しがきかない進行方向前方の情報など,安全に関する情報を,道路側に設置された設備から走行中の車両に対して送信することにより,ドライバーは,あらかじめ得た情報をもとに注意しながらより安全な運転をし,事故を回避できる。

① 安全運転支援システム(DSSS: Driving Safety Support Systems)

ドライバーの視野に入らない位置にある一時停止規制や信号,自動車・二輪車・歩行者の存在に関する情報が,車載装置等で受信可能になった。ドライバーは,これら情報に基づいて,より注意深く運転することにより,追突や出合い頭による衝突などを回避しやすくなった(5)。

図5 安全運転支援システムの例(出典:ITS Japan)

② ITSスポット

全国の高速道路上を中心にITSスポットを整備し,2011年より世界初の路車協調システムによるITSスポットサービスを実現した(6)。本サービスでは,広範囲の渋滞データを配信し,カーナビが賢くルート選択するダイナミックルートガイダンス,道路の交通安全上の課題に合わせて,障害物や渋滞末尾,事故多発箇所の情報提供を行う安全運転支援,料金の支払いをキャッシュレスで可能とするETCの3つの基本サービスを提供しており,決済,観光,物流などの多様なサービスへの展開も期待されている。

図6 ITSスポットからの情報提供サービス事例(出典:国土交通省)

安全運転支援については,音声や画像等により適切なタイミングで情報提供を行っており,例えば,首都高速では全長の2%に全事故件数の約20%が集中しているが,そのような事故多発箇所で追突事故等を6割削減するなど,ドライバーの安全な運転に貢献している。

③ 車車協調システム,歩車協調システム

さらに,政府目標達成のためにもこれらの事故形態へのさらなる対応技術開発が必要である。車車協調システムでは,互いの存在を知らせあって見通しの悪い交差点での出合い頭衝突の防止支援や,右左折時の衝突防止支援などを開発中であり(7),また車対歩行者,自転車,二輪車などは価格の安い通信端末として無線タグ等を交信手段として使うことも試行中である。

図7 開発中の車車協調システム(出典:ITS Japan)

2.2.2 プローブ情報の高度利用

(1) さまざまな交通流情報(プローブ情報)の高度利用促進

近年の車両は,燃料消費も含め大半が電子制御されているのと併せて,どのような運転・制御がされたかもメンテナンス時に確認できるようになっている。つまり,個車の位置情報(GPS(Global Positioning System:衛星測位システム)信号との連携),運転状態(スピード,加速度,ワイパー利用状態,ヘッドライト点灯状態,ブレーキ使用頻度など),並びに燃料消費量さえも情報として吸い上げることが理論上は可能である。それらの情報を有効,かつリアルタイムに利用することによって,交通渋滞を事前に認知し回避可能なような情報の運転者への提供,急加速減速の繰り返しなどの無駄な燃料消費の有無を判断した上での運転者への警告も,民間のサービスとしては,行われているのが現状である。

ちなみに,現在,交通流情報と呼ばれる幾多の情報・データは,それぞれの官民の事業体により,個別に収集形成され,活用されているのが実態である。その情報・データの収集・管理には莫大な費用が計上されてはいるものの,個別単位では質・量的に完全なものとは言い難いのも事実であり,それらの情報・データを共通に使い,新たなサービス,社会貢献につなげるための検討を行っている(8)。

図8 交通流情報の共通基盤(出典:ITS Japan)

(2) 災害時等の取り組み(官民連携による通行実績・通行止情報の提供)

前述の取り組みを進める中で,2011年3月に発生した東日本大震災時に,民間各社が収集した車両の通行実績データ(プローブ情報)を集約し,前日24時間に車両が通行した道路の情報としてインターネット上で公開した。さらに,通行実績があっても通行止めの道もあるため,国土地理院が取りまとめた通行止め情報も同一地図上に重ねて表示すること等,官民が連携することにより情報の正確性を高め,インターネット上で情報提供した(9)。これらの情報は,現地での移動や東北地方への救援物資の輸送等,東日本大震災時の救援,復興に貢献することができた。

図9 通行実績・通行止情報の例(出典:ITS Japan,地図データ:©2011 ZENRIN)

3. これからのITSの取り組み

3.1 持続可能なモビリティの実現

これまで述べてきたように,ファーストステージ,セカンドステージで進めてきたITS技術の開発をもとに,これからはあらゆる人がいつまでも社会に参加し,活力に満ちた健全で豊かな暮らしを営んでいける持続可能なモビリティの実現が不可欠である(10)。地球温暖化,少子高齢化が進む中,交通弱者にやさしい高度運転支援システム(自動運転)と,ビッグデータによるダイナミックでリアルタイムな交通情報の提供が,これからのITSの鍵となる。

図10 実用化・普及の進展と新たな課題への挑戦(出典:ITS Japan)

3.2 自動運転技術への関心の高まり

1990年代から自動運転の技術開発と実証実験が日米欧でそれぞれ行われてきた。日本では,愛・地球博(2005年)に自動隊列走行のバスが会場内の旅客輸送に使用された。しかし,一般車両との混在環境で自動運転を実用化することは困難と考えられてきた。しかし,ここ数年,実用化を視野に入れた自動運転プロジェクトが活発化してきた。

日本では,低炭素交通社会を実現するためのエネルギーITSプロジェクト(2008年~2012年)において,大型トラックの隊列自動走行の開発が行われた(11)。欧州では,Aachen工科大学(ドイツ)のトラックの自動隊列走行KONVOI(2009年),トラックに乗用車が追従走行するSARTRE(2012年)などの公道実験が行われた。

図11 自動隊列走行システム(出典:日本自動車研究所)

米国では,PATH(Partners for Advanced Transit and Highways)がワシントンD.C.で路線バスの自動運転(2003年),ネバダ州でトラックの隊列走行(2011年)などを行った。また,軍事研究の一環で,Urban Challenge(2007年)と銘打った市街地での乗用車の完全自動運転コンペティションが行われた。市販車両の改造で技術的に実現可能であることが実証された。その成果を活用して,Google社が各地で公道走行試験を行っている。

このように制御技術が高度化する中で,車両の高度運転支援技術,車車間・路車間協調技術を融合して,安全性の向上やエネルギー効率の向上を実現すべく政府プロジェクトが計画されている。米国連邦運輸省は,前述のように自動運転を含む高度運転支援の開発・実用化Road Vehicle Automationを次期ITS Strategic Plan(2015年~2019年)に織り込む見込みである。日本では,2012年度からオートパイロット研究会を開催し,行政,有識者,自動車メーカーで検討を重ね,新たな高度運転支援のあり方を検討している(12)。

図12 安全装備・運転支援技術の進展(出典:ITS Japan)

3.3 個人の発信力

従来,一般市民にとっての「情報化社会」の意味するところは,行政機関や報道機関など情報を容易に入手できるような社会の実現であった。初期のインターネットの普及は,まさにその役割を担った。しかし,今日的に重要な意味は,情報発信においても個人が行政機関や大企業と対等の影響力を持ったことにある。東日本大震災において個人発の情報とそれを結びつけるネット上のコミュニティーの力が多くの人々の支えになり行政機関の救援活動にも活用された。それ以来,個人発の情報・解析の研究が加速し,報道機関も活用するようになった。悪意の情報流通が社会的混乱を招いたり個人情報が流出したりするリスクに対策をとりながら,「個」の力を活かすことが期待される。

3.4 公共データのオープン化

先進各国では,公的機関の持つデータを公開し,他の行政機関や民間の利用を促進する方向に動いている。

欧州は,欧州連合域内活動のシームレス化による巨大経済圏としての国際競争力強化を目指してきた。社会活動を支える交通においても,あらゆる交通手段が国境を越えてシームレスにつなぐ効率的なマルチモーダル交通の実現に力を注いできた。そのために,加盟各国の官民の交通機関が持つデータの標準化と相互利用を促進してきた。すでに公開された情報をスマートフォンのプラットフォーム上で活用した多様なサービスが提供されている。

米国では,公的機関の保有する情報は可能な限り公開し,民間活用を促すことによって,市民に対してよりきめの細かい多様なサービスが提供され,新たな情報提供ビジネスが次々に生まれている。新産業育成の経済効果も現れている。

日本でも,IT戦略本部でオープンデータ戦略が策定され動き出した。ITS Japanでは,行政機関の交通情報と民間のプローブ情報を相互利用するための共通基盤構築やそれをクラウド的に地方自治体が活用する「地域ITS情報センター」の構築などを提言(13)してきたが,いよいよ実現に向けた活動を展開する時が到来した。

図13 地域ITS情報センター構想(出典:ITS Japan)

3.5 今後の取り組み

これまで述べてきたように,技術革新や急速な普及により競争力の鍵を握る分野がインフラや車両といったハードウェアから電子制御技術や情報処理へと移り,主役が行政機関や大企業からベンチャーや個人に移りつつある。また,交通を単独で考えるのではなく,国際競争力向上,地域の活性化,個人の多様性を活かすことができる豊かな社会づくり,といった大きな目標を達成するための手段として総合的にとらえる必要がある。

すなわち,進化を続けるITS技術を駆使して新たな価値を生み出すことによって豊かな社会づくりに貢献し,従来の事業領域を超えたビジネスを創出するチャンスととらえなければならない。

3.6 おわりに:Open ITS to the Next

高度運転支援システム(自動運転)は,機械が人に合わせる「優しい自動車社会」の実現を可能にする。また,ビッグデータの活用により,地域への迅速な情報提供やCO2排出量の可視化,災害への速やかな対応が可能となる。高度運転支援システムと交通のビッグデータをプラットフォームとして,新しい価値を持つ交通社会が誕生する。この新たな交通社会の誕生が,2013年10月に開催する第20回ITS世界会議注5)のテーマである「Open ITS to the Next」である。この世界会議が交通社会の次のステージへの扉を開けることと確信する。多くの方々に参加いただき,皆さんと経験やアイデアを共有し大いに議論する場としていきたい。

本文の注
注1)  ITS Japan. http://www.its-jp.org/

注2)  道路システム高度化推進機構. ETC総合情報ポータル. http://www.go-etc.jp

注3)  国土交通省. ASV(先進安全自動車). https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/index.html

注4)  一般社団法人UTMS(Universal Traffic Management Systems)協会. http://www.utms.or.jp/japanese/system/index.html

注5)  第20回ITS世界会議東京2013. http://www.itsworldcongress.jp/japanese/

参考資料

  1. a)   国土技術政策総合研究所. 高度道路交通システム. http://www.nilim.go.jp/japanese/its/index.htm

参考文献
 
© 2013 Japan Science and Technology Agency
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