新緑の季節となりました。この4月に就職,転職,異動などで環境が変化した方々も多いことと思います。皆様,健やかにお過ごしでしょうか。
少し前のことになりますが,この3月,初めて羊皮紙に触れる機会を得ました。一橋大学社会科学古典資料センターでのことです。厚さも手触りもいろいろで,新鮮な驚きを感じました。心の奥深くに大事にとどめておきたい感触でした。
言葉でだけ知っていたインキュナブラ(※)の実物も見ることができました。西暦1500年以前に金属活字を使って印刷されたインキュナブラ。時を超えて中世ヨーロッパに思いをはせました。
一橋大学図書館の壁には「TEMPUS FUGIT」の言葉が掲げてあります。「光陰矢のごとし」のラテン語だそうです。いまを大事にしなさい,時を惜しんで学びなさい,と言われている気がしました。
昨今,研究倫理,出版倫理が問われるのを目にするたびに,弊誌の50周年記念号に掲載した今は亡き哲学者今道友信先生の「情報倫理」を思います。(http://dx.doi.org/10.1241/johokanri.50.649)。
「情報倫理と言っても,それは倫理すなわち人たるものとしての『おのれの魂の世話』という哲学の一部であることを忘れてはならない。すべては人間として『よく生きる』ための憧憬(あこがれ)から湧き出る」という言葉で原稿は締めくくられています。あれから折にふれ,この今道先生の言葉に立ち返り,心を鎮め思いを新たにしています。
4月号から「ビジネス調査」に関する新たな連載がスタートしました。1年間かけてプロの調査術を解説していただきます。お役に立つことを願います。
(KM)