2010年度に連載した「教えて!著作権」シリーズは多くの読者から参考になるとの感想をいただきました。あれから3年,再び著作権を取り上げました。今回も学術情報流通や図書館業務にかかわりの深い内容に焦点を絞って解説します。前回のシリーズと併せて参考にしていただければと思います。
先週,とあるネット書店から『ブラック・ジャック創作秘話 手〓治虫の仕事場から(5)』という新刊本の案内メールが届きました。さすがに,〓(ゲタ字)は「塚」の異体字だろうと予想がつきましたが,「手〓治虫」と表示されるのを見たのは初めてでした。手塚治虫氏ほど有名な方だから穴埋めは可能ですが,そうでなければ名前はわからないままです。
実際に昨年,今年と,「〓」の入った名簿を目にする機会がありました。いずれもJIS第3水準,第4水準の漢字で,名簿作成の段階では表示できていたのだと思います。情報を伝える段階で,そこまでの漢字処理能力のない計算機を経たために「〓」になったのでしょう。
情報を伝えるという観点に立てば,たとえ正式な表記が「塚」に点の入っている字だとしても,〓にならない字の方を選ぶという選択が必要ではないでしょうか。そんな問題意識をもって,自治体現場経験のある方に,電子行政における使用漢字についてご寄稿いただきました。
電子教科書は,以前から話題にのぼっていたテーマです。ここでは,義務教育における検定教科書にとどまらず,参考書,教材など学習に使われるさまざまなものも含めて,広義の電子教科書と呼んでいます。内外における動向を解説します。
情報を扱っていると,用語の問題を避けて通ることができません。ISO 30300に関する記事は,記録管理の国際標準を扱っていますが,用語の扱いをめぐる格闘の報告でもあります。情報を正確に伝えてこそ用字用語は生きてきます。(KM)