COPEという機関があることを知ったのは,2013年9月号に「医学雑誌編集者のためのガイドライン」(北村聖氏)を掲載したときでした。日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)が策定した標題ガイドラインには,誠実性や公正性についての疑問が生じた際は,Committee on Publication Ethics(COPE)のフローチャートを利用するとよい,とあり,フローチャートすなわち「ミスコンダクト(不正行為)が疑われた際の対応手順」の17の見出しが紹介されていました。オーサーシップに関するフローチャートが6つもあることに驚きました。
そのCOPEの前ChairであるLizさんが2014年1月に来日され,出版倫理についての講演を聴講することができました。UniBio PressとJ-STAGEとのジョイントセミナーでした。Lizさんのお話にも感銘を受けましたが,司会のUniBio Press永井裕子氏が,日本の学術出版の編集に携わる者はプロとしての誇りをもつべきだ,と言われたのが印象的でした。
今回,そのLizさんにご寄稿いただき,UniBio Pressを中心とする方々のご協力で翻訳記事の掲載がかないました。併せて,編集現場からの報告として,日本疫学会の橋本氏にもご寄稿いただきました。
ニュートンは「私がより遠くを見ることができたとするならば,それは私が巨人の肩に乗っていたからにすぎません」と記しました。研究は,巨人すなわち蓄積された多くの先行研究に基づいて行われています。その先行研究が公正に行われていなかったら,あるいは研究成果が適切に記述されていなかったら,あとに続く者たちの研究の前提が崩れてしまいます。
弊誌は,2013年度,5回にわたって松澤孝明氏による研究不正および国家研究公正体制に関する記事を掲載しました。4報目にあたる「諸外国における国家研究公正システム(2)」(2014年2月号)にも,COPEが言及されています。併せてお読みいただければ幸いです。(KM)