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情報界のトピックス
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2016 年 58 巻 10 号 p. 800-801

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Google,YouTubeのフェアユース動画を法的に支援

米Googleは11月19日,傘下のYouTubeで公開されている,同社が明確なフェアユースと認める動画について,著作権者からコンテンツ削除要請(テイクダウン)を受けた場合に法的な支援を行う方針を明らかにした。フェアユースは,一定の条件を満たせば著作権所有者の許可なく著作物を再利用できるとする法原理で,米国では解説,批評,研究,教育,ニュース報道での利用であればフェアユースと見なされる。Googleは,そうしたフェアユース動画に対して米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づくテイクダウンがあった場合にも,動画作成者からの要請があれば削除せずに米国内でのYouTubeでの公開を続け,訴訟費用も負担するとしている。同社はこの取り組みは作成者個人を守るだけでなく,YouTubeコミュニティーや著作権者の間にフェアユースについての理解を広めることにもなるとしている。

Amazon,シアトルに初の「リアル書店」オープン

米Amazon.comは11月3日,同社初の実店舗「Amazon Books」を米ワシントン州シアトルにオープンした。ショッピングモール「ユニバーシティ・ビレッジ」内の店舗は,約4,600平方メートルの売り場に5,000から6,000タイトルの書籍が並ぶ(数字はSeattle Times紙)。品ぞろえは,Amazon.comやGoodreads(書籍レビューサイト)でのレーティング,Amazonのキュレーターの評価に基づいており,ほとんどが星4つ以上だとしている。多くの書籍はAmazon.comのカスタマーレビューとともに陳列されている。店内にはAmazonの「Kindle」や,タブレット「Fire」,「Fire TV」などを試すことができるテーブルも設置されている。オンラインで成長してきたAmazonだが,パリ市内のショッピングモール2カ所にも,KindleやFireといったモバイルデバイスを試すことのできる小規模な店舗をオープンさせており,独自ハードウェアの展開に合わせた「リアル店舗」の取り組みも進めている。

国立国会図書館,有償の電子書籍閲覧提供の実証実験を実施

国立国会図書館は11月30日,「電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業」を12月1日から実施すると発表した。この事業は,現在は納本制度の収集対象外である,有償の電子書籍・電子雑誌の収集について,収集および長期保管・利用の技術的検証を行い,国立国会図書館内での閲覧が民間のビジネスに与える影響などを分析することを目的としている。対象の電子書籍・雑誌は,国立国会図書館(東京本館および関西館)の特定端末で閲覧できる。データは閲覧のたびに日本電子書籍出版社協会からインターネット経由で送信される。事業開始時点では,雑誌,文芸,実用,新書,コミック等の800点以上の提供を予定している。3年以内に実施の成果を確認し,事業内容の見直しを行うことを想定している。

英国図書館,公共貸与権の支払いレートを引き上げへ

英国の英国図書館理事会は,公共貸与権(PLR)の支払レートを2016年から引き上げることを提案し,11月9日付で文化・スポーツ・メディア省によるコンサルテーション(意見募集)が開始されている。英国の公共貸与権制度は,図書館が書籍の貸し出しを行った際に,著作者に一定額が支払われるもので,2014年からは電子書籍の貸し出し(図書館内でのダウンロード)も対象になっている。今回の提案では,貸し出し1回当たりの支払い額を,従来の0.0666英ポンド(約12円)から0.0767英ポンド(約14円)に引き上げるとしている。

慶大,Apple Watchでの脳梗塞の早期発見を目指す

慶應義塾大学は11月25日,「iPhone」と「Apple Watch」を用いた不整脈・脳梗塞の早期発見を目指した臨床研究を開始したと発表した。Appleの医療研究向けフレームワーク「ResearchKit」を使用して開発したアプリケーション「Heart & Brain」により,Apple Watchで記録した心拍数,歩数,運動量などのデータを収集するほか,不整脈や脳梗塞に関する質問への回答,iPhone内蔵センサーを駆使した運動評価を行う。成人のiPhoneユーザーが参加することができる。

 
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