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情報界のトピックス
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2016 年 58 巻 12 号 p. 946-947

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オバマ大統領,コンピューター科学教育支援策を発表

オバマ米大統領は1月30日,K-12教育(幼稚園から高校まで)を対象とするコンピューター科学教育支援の新イニシアティブ「Computer Science For All」を発表した。これはアメリカのすべての生徒がコンピューター科学を学ぶことで,「単にコンピューターを使って仕事ができるだけでなく,分析スキルやプログラミングスキルを身につけ,イノベーション経済を動かす力となること」を目指すとしている。具体的な支援策としては,今後3年間で政府予算から40億ドルを拠出するとともに,全米科学財団(NSF: The National Science Foundation)や全国・地域サービス公社(CNCS)のプログラムから1億3,500万ドルを支援し,教師のトレーニング,教材の充実などを行う。この新プログラムの背景としては,テクノロジー人材が不足するなかで,理系職に占めるコンピューター関連職の割合が増加していることがある。オバマ大統領は「コンピューター科学は3R(読み書き計算)にならぶ基本的スキル」だとする一方で,コンピューター科学の授業を行っているK-12の学校は全体の4分の1であり,22の州では,コンピューター科学を高校の卒業単位として認めていないことを指摘している。

人工知能による創作

作家の故小松左京の著作権を管理する小松左京ライブラリは1月27日,小松左京作品の全テキストデータを,公立はこだて未来大学の人工知能研究グループに提供したと発表した。同大の松原仁教授らのグループは,人工知能によって文学賞を獲得できるようなショートショートを創作するプロジェクトを2012年から進めており,同ライブラリはその研究の一環として,これまでテキスト化されている小松左京作品の全テキストデータを提供したとしている。松原教授らのプロジェクトでは作家・星新一のショートショート全編を分析し,人工知能で作成した作品を2015年9月に第3回日経星新一賞に応募している。

一方,1月27日に実施された,知的財産戦略本部の第4回次世代知財システム検討委員会では,「AIによって生み出される創作物の取扱い」が討議された。同委員会討議資料では,コンピューターによって人間の創作物と見分けのつかない情報が生成される状況になりつつあるが,現行法制度では,人工知能が自律的に生成した生成物については権利の対象と考えられていないことを指摘。今後,人工知能創作物が爆発的に増えると予想されることから,その知財制度上の取り扱いについて改めて検討することを提案し,議論の論点としてさまざまな懸念や問題点を提示している。

鯖江市図書館,アプリで書籍を探しやすく

全国の図書館の蔵書情報や貸し出し状況の検索サービスを提供する株式会社カーリルは1月7日,福井県鯖江市図書館で,屋内位置情報を活用した館内案内アプリ「さばとマップ」の運用を開始したと発表した。このアプリは無料で,AndroidおよびiOS端末で利用可能。館内でアプリを立ち上げると,館内地図上にユーザーの現在位置が表示される。書籍を検索すると,その書籍がどの書架にあるかが地図上で表示されるようになっている。この「さばとマップ」は,鯖江市図書館が公開した館内マップなどのオープンデータを活用したもので,同アプリのソースコードもオープンソースとして公開している。屋内測位には館内に設置したビーコン(iBeacon)を利用するが,測位データの取り扱いについてはユーザーのプライバシーリスクに配慮した仕組みが取り入れられている。

NY公共図書館,パブリックドメインの電子資料18万点を公開

ニューヨーク公共図書館は1月6日,同館が所蔵するパブリックドメインの創作物・資料約18万点のデジタルコレクションを公開したと発表した。デジタルコレクションのWebサイト上で,高解像度画像やメタデータの検索や閲覧,ダウンロードができるほか,「visualize the public domain」と呼ばれる検索ツールなども公開されている。公開されている資料には,ニューヨーク市関連コレクションや,歴史的な地図,植物図,珍しい手稿や写真,古い宗教書などがある。日本に関連した資料では,1554年に描かれた源氏物語絵巻も含まれている。

 
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