2016年に入ってICT関連で話題になったのは,なんといっても囲碁の人工知能AlphaGo(アルファ碁)が,世界最強の一人とされる韓国の棋士に勝ったという衝撃的なニュースでしょう(本号,「情報界のトピックス」参照)。本号では,囲碁,将棋を含むゲーム情報学を取り上げています。
人工知能が長足の進歩を遂げていることにはもちろん驚きましたが,「ゲームという遊びを研究の例題にするなどもっての外」であるとして,将棋,囲碁のゲーム情報学が長いこと日本で疎外されてきた,という話にも考えさせられました。遊びとアカデミックな世界の間に障壁を設けることで,自ら世界を狭くしていると感じます。
あらゆる障壁が本来は可能であったはずの成長を阻害し,新たな発見の機会をなくしているのではないでしょうか。心の障壁(バリアー)をなくして,新鮮な目で周囲を見回すことが大事ではないかと思いました。
福井弁護士の講演で強く印象に残ったことの一つが,Web炎上の首謀者は通常,数名の匿名ユーザーだという話でした。特定の人々が繰り返し大量に発言しているのかもしれないのに,「皆がそう言っている」と思い込んでしまう。わたしたちはそのように,まだWeb世論との付き合い方も,人工知能との付き合い方もよく知りません。まずは,知らないという事実を認めるところから始めたいと思います。
皆さまはシーサートという言葉をご存じでしたか。高度なサイバー攻撃による被害が増加する昨今,強固な情報セキュリティーの構築が求められています。インシデント対応を主導するチーム・シーサートについて,またインシデントについて,日本シーサート協議会の運営委員長が解説しています。
情報学研究データリポジトリ,朝日新聞フォトアーカイブ,いずれも情報資産の提供・活用に関する記事です。フォトアーカイブでは,古い写真のデジタル化と書誌作成など,アクセスを可能とする工程のことも解説しています。情報を組み合わせて新たな価値を創造する情報活用のサイクルにかかわる話題を今後も紹介していきます。(KM)