情報管理
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編集後記
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2016 年 59 巻 3 号 p. 208

詳細

この3月まで過去の記事をJ-STAGEに登載するための確認作業をしていて,いろいろ考えさせられることがありました。

30年以上前の本誌に「資本金1,619億円」という数字がありました。ところが次の号に,「161億円の誤りでした」という訂正記事が掲載されているのです。J-STAGEのリンク機能によって,元記事と訂正記事は相互参照できるので,Web版を見れば正しい数字がわかります。しかし,冊子の記事掲載号だけを見たならば,1桁違う数字を正しいものと信じてしまうことでしょう。しかもこの記事の執筆者は当該組織の方なので,信頼性は高いとみなされるはずです。訂正データは,ただ存在するだけでなく,元の記事とリンクして初めて意味をもつのだと思います。Web版のリンク機能の素晴らしさを実感した次第です。

弊誌の記事を引用するときに,PDFや全文HTMLのURLではなくDOIを使用するのは,まず書誌ページを開いて,前述のように訂正があれば併せて読んでもらうためです。PDFしか見ないなら,紙の時代と同じです。せっかくの相互参照を使わない手はありません。引用,被引用もさることながら,編集担当としてはこのリンク機能の重要性を意識しています。

5月号の福井先生の特別講演の中で,Web世論に関するリテラシーが足りないという話が出てきます。Web世論に関するリテラシーだけでなく,私たちはエビデンス(事実)に関するリテラシー自体,不十分ではないのか,という疑問も湧いてきました。信頼性の高い情報であっても,「ウラをとる」作業なしにうのみにするのは危険です。

事実の確認に有効なレファレンスツール「ジャパンナレッジ」を今回取り上げました。ここでもリンク機能が生かされ,連携が広がっています。

文字通り「桁違い」の間違いが過去の本誌にあったことを申し訳なく思います。数字,年月日,固有名詞の事実確認は特に注意して,抜けがないよう努めています。今回,過去の誤りを見て,さらに心して取り組まなければと思いました。(KM)

次号予定

  • ●   イノベーションを支援する知財情報:WIPOの戦略・政策・イニシアチブ
  • ●   NBDC RDFポータルの紹介
  • ●   日本薬学会論文誌の取り組み
  • ●   日本十進分類法のLinked Data化:セマンティックWebへの対応を目指して
  • ●   オープンサイエンスを牽引するResearch Data Alliance:分野・地域組織を超えた地球規模の取り組み
  • ●   レポート紹介:地球環境研究におけるオープンデータ:ベルモント・フォーラムによるオープンデータ調査

編集委員会

  • <委員長>小賀坂康志(科学技術振興機構)
  • <編集委員> 江草由佳(国立教育政策研究所)・岡安渉子(富士通㈱)・小河邦雄(大正製薬㈱)・清田陽司(㈱ネクスト)・山下正隆(旭化成㈱)・木村美実子・佐藤恵子・嶋田一義・坪井彩子・中村拓・火口正芳・日高真子・樋廻美香子・山崎美和・余頃祐介・米陀正英(以上 科学技術振興機構)

編集事務局

  • 木村美実子(事務局長)・石井節子・酒井加代子・
  • 大井喜久子・中山広之(以上 科学技術振興機構)

版下作成・印刷

  • 昭和情報プロセス株式会社

発行

  • 国立研究開発法人 科学技術振興機構
  • 〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
  • 「情報管理」編集事務局
  • Tel. 03(5214)8406 Fax. 03(5214)8460
  • E-mail: joho-kan@jst.go.jp
  • http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/

 
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