学会誌の出版事業は簡単ではない。作業を国際的な大手出版社に委託する学会や研究機関は後を絶たない。大手出版社の方が,使いやすい査読システム,国際的な宣伝戦略,そして何よりインパクトファクターを上げるノウハウなど,メリットが大きくみえる。しかし,委託の交渉は容易ではない。調べてみたら,著作権や法的な責任体制において学会側が不利だった,という場合も多いはずだ。その実例が,筆者が所属する国際メタボロミクス学会である。学会誌における不利な条件を改善しようと出版社と交渉を続けてきたが,合意に至らなかった。そして現在,新規に学会誌を創刊する道を選んでいる。その事例をもとに,国内学会が出版事業を委託する際の要点を紹介し,J-STAGEの利点を確認する。