今号には,バリアフリーに関連した記事を2件掲載しました。
私がパソコン要約筆記専用ソフト「IPtalk」に出会ったのは十数年前のことでした。簡単な研修を受けたのち,友人と2人1組で実際にパソコン要約筆記に挑戦しました。本来でしたら2組が交代で取り組むべきところを,人手不足で1時間以上交代なし。相手の入力状況を見ながらその先の発言を入力し,確認してからアップロードします。リアルタイム字幕を見て会場にいる聴覚障害の方も,講師の話にうなずき,笑い,時を共有することができます。へとへとになりながらも,バリアフリーを実感しました。
国土交通省の歩行者移動支援サービスは,高齢者や障害者のスムーズな移動を助けるもので,課題先進国日本が2020年にユニバーサル社会を実現するという目標に向けた取り組みの一環です。
人間はいつなんどきケガをするか病気になるかわかりません。障害者差別解消法の背景にある「障害は人間がとりうる自然な状態のひとつである」という理解のとおりです。そして老いは誰にでもやってきます。障害や高齢による障壁を技術によって取り除き,誰もが普通に暮らせる世の中にすること。超高齢社会を迎えた日本にとって,非常に重要な課題と考えます。
内閣府の「共生社会政策」のページには,「年齢や障害の有無等にかかわりなく安全に安心して暮らせる『共生社会』」の実現が必要,と書かれています。多様な人々の共生,自然と人間の共生,機械(AI)と人間の共生。「共生」について深く考えさせられるこの頃です。(KM)
vol. 59, no. 5(2016年8月号)「運転・育児・防災活動,どこまで機械に任せるか」の「謝辞」(p. 329)の記載内容に誤りがありました。お詫びして訂正します。
誤:坂本大輔 正:坂本大介