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JSTサービス紹介
JSTサービス紹介 J-GLOBAL これからもイノベーション創出に貢献していく
佐藤 恵子
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2018 年 60 巻 10 号 p. 753-756

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1. はじめに

科学技術振興機構(JST)が提供するJ-GLOBAL(http://jglobal.jst.go.jp)は,さまざまな専門的なサービス等と連携し,質の高い科学技術情報をより効果的に流通させることで,わが国のイノベーション創出に貢献することを目指したサービスである1)2)。2009年3月に試行版としてサービスを開始してから,2018年で10年目を迎える。本稿では,J-GLOBALの概要および特徴,そして今後の展望について説明する。

2. J-GLOBALとは

2.1 概要

J-GLOBALは,研究開発において重要な10種類の科学技術情報(研究者,文献,特許,研究課題,機関,科学技術用語,化学物質,遺伝子,資料,研究資源)を統合的に検索できるWebサービスである。これらの情報はJSTが長年にわたり整備してきた信頼性の高い情報を中心としている。10種類の登載情報を1に示す。

表1 J-GLOBALの情報構成
  収録内容 収録件数
研究者 国内の大学・公的研究機関・研究所に所属する研究者情報 約26万件
文献 国内外の主要な科学技術・医学・薬学文献情報 約4,410万件
特許 特許庁が作成する公開公報,公表公報,再公表公報,特許公報 約1,256万件
研究課題 国内のさまざまな研究課題やJST実施の主な研究課題 約6万件
機関 国内の大学・公的研究機関・研究所の機関名,代表者,所在地,事業概要等 約50万件
科学技術用語 科学技術用語に関する同義語や関連語情報等 約33万件
化学物質 日本化学物質辞書収録の有機化合物情報 約361万件
遺伝子 ヒト遺伝子の名称,エイリアス,遺伝子座等 約6万件
資料 JSTが収集・所蔵する国内外の科学技術系資料 約15万件
研究資源 国内外の大学・公的研究機関等に関する研究資源名,機関名,概要等 約5,000件
2017年10月現在

2.2 つながる,ひろがる,ひらめく

J-GLOBALは「統合的に検索できるサービス」と前述したが,単に10種類の情報を横断的に検索できるだけではない。10種類の情報は関連のある項目でつながっており,この情報のつながりにより,利用者は関連する情報を次々にたどり,参照することができる。たとえば,あるテーマについて検索した結果得られた「文献情報」から,その著者名をキーに「研究者情報」を参照し,さらにその研究者名をキーに出願した「特許情報」にたどり着くことができる。また,内容が類似する情報を案内する機能も備えている。ある文献情報から,この文献と内容が近い文献情報や特許情報を簡単に参照することができる。このように,情報間の関係性をたどることで,これまで出会うことがなかった情報に遭遇することができ,意外な気づきを得ることができる3)1)。

さらに,J-GLOBALが連携するJST内外のさまざまなサービスへもつながり,ひろがることで,詳細な情報を入手することができる。たとえば,「文献情報」からはJ-STAGEやCrossRef等と連携することによってその全文情報が参照できるようになっている。「化学物質情報」においては,有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)や既存化学物質毒性データベース(JECDB)等と連携することによって,スペクトルデータや毒性情報を参照することができる(1)。J-GLOBALからの主な外部サイトへのリンク先を2に示す。

このように,J-GLOBALは,「つながる・ひろがる」により,アイデアやひらめきを得るきっかけを提供している。これが,J-GLOBALのキャッチフレーズが「つながる,ひろがる,ひらめく」であるゆえんである。

図1 J-GLOBAL概要図
表2 J-GLOBALからの主な外部連携先

3. よく使われている機能

利用者へのアンケート結果4)でよく使う,便利だと思うと回答があった機能から「絞り込み検索」と「名寄せID検索」について紹介したい。

3.1 絞り込み検索

検索結果一覧画面の左側のメニューで,検索結果の絞り込みができる。絞り込みの項目は,情報ごとに適切なものが用意されている。たとえば「文献情報」の結果一覧の絞り込み検索においては,著者名やその所属機関名,発行年,被引用文献や被引用特許といった項目が用意されている(2)。発行年においては,時系列グラフが表示でき,検索集合の年別傾向をグラフで確認することができる。

図2 絞り込み検索

3.2 名寄せID検索

論文の著者名/機関名,特許の発明者名/出願者名には,表記揺れがあり,網羅的に検索することが難しい場合がある。JSTでは,独自の同定システムで文献や特許等において,名寄せ(同一人物,同一組織などを一意に識別できるIDを付与すること)を行っており,J-GLOBALにも名寄せIDが登載されている5)。著者の名寄せIDを「JGPN」(J-GLOBAL Person Number in comprehensive identification system),機関の名寄せIDを「JGON」(J-GLOBAL Organization Number in comprehensive identification system)と呼んでいる(3)。このIDを使って検索すると表記揺れを気にすることなく検索することができる。名寄せIDは,文献,特許,研究課題の検索結果一覧画面の絞り込み検索や詳細情報画面に表示される。

図3 名寄せID

4. 今後の展望

J-GLOBALが生まれて10年。オープンサイエンス・オープンイノベーションの潮流,ICT技術の革命的な進歩等,取り巻く環境も変わってきた。

今後も,環境の変化に対応しつつ,サービス開始当初からの理念に基づき,効果的にイノベーションの創出に貢献できるよう,コンテンツの拡充,関連精度の向上等,サービスの向上に努めていきたい。そのためには,利用者の方々からの声を反映していくことが大切であると考えている。ぜひJ-GLOBALをご利用いただき,ご意見をお聞かせいただきたい。

なお,2018年度秋ごろに,文献情報の拡充,ユーザーインターフェイスの見直しを予定している。次のステップアップにもご期待いただきたい。

(科学技術振興機構 情報企画部 佐藤恵子)

参考文献
  • 1)  松邑勝治, 黒沢努, 関根基樹, 矢口学, 植松利晃, 加藤治. 「J-GLOBAL」試行版(β版)の構築と今後の展望. 情報管理. 2009, vol. 52, no. 3, p. 150-157. http://doi.org/10.1241/johokanri.52.150.
  • 2)  國岡崇生, 宮村和実, 植松利晃, 堀内美穂, 坂内悟. 「J-GLOBAL」正式版の構築:検索行動モデルから見たサービス設計とその特徴. 情報管理. 2012, vol. 55, no. 8, p. 582-590. http://doi.org/10.1241/johokanri.55.582.
  • 3)  松邑勝治, 植松利晃, 國岡崇生, 治部眞里, 堀内美穂, 山田直史, 坂内悟, 齋藤隆行. 統合検索:J-GLOBAL(科学技術総合リンクセンター)における情報連携の取り組み. 情報の科学と技術. 2011, vol. 61, no. 9, p. 336-342. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/61/9/61_KJ00007476379/_pdf, (accessed 2017-10-23).
  • 4)  “平成28年度 J-GLOBAL利用者満足度調査”. 科学技術振興機構. http://jglobal.jst.go.jp/info/findings2016.pdf, (accessed 2017-10-23).
  • 5)  木村考宏, 渡邊勝太郎. JSTサービス紹介 J-GLOBALのリニューアル. 情報管理. 2016, vol. 59, no. 2, p. 132-135. http://doi.org/10.1241/johokanri.59.132.
 
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