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情報界のトピックス
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60 巻 (2017) 10 号 p. 762-764

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シュプリンガー・ネイチャー,中国の一部の論文アクセスを遮断

シュプリンガー・ネイチャーは11月2日,中国の1,000件の論文へのアクセスを遮断したと発表した。同社はこの措置について,中国の法律順守のためであり,遺憾だが,読者や著者に影響が広がることを防ぐために必要な措置だったとしている。8月にもCambridge University Pressが中国のWebサイトから約300件の論文を削除しているが,このときは研究者から検閲だとする批判が高まり,決定が撤回されている。シュプリンガー・ネイチャーは今回の決定について,編集側による検閲ではなく,他の国への影響はないことを強調している。フィナンシャルタイムズ紙によれば,アクセスが遮断された論文には,「台湾」「チベット」「文化大革命」などの言葉が含まれているという。

FCC,ネット中立性規則撤廃に向けた採決へ

米連邦通信委員会(FCC)は11月21日,ネット中立性規則の撤廃を勧告し,12月14日に委員による採決を行うと発表した。ネット中立性は,インターネット上ではすべてのデータを平等に扱うべきとして,特定のトラフィックを制限したり,逆に優先化することを禁じる原則で,オバマ政権下の2015年にネット中立性規則「Open Internet Order」が採択された。トランプ政権下ではこの規則の見直しが進められていた。この発表内でFCCのアジット・パイ委員長は,2015年の規則について「当時のFCCがオバマ大統領の圧力に屈した」ものであり,ブロードバンドネットワークの構築や拡大への投資を低下させ,イノベーションを阻害してきたと批判している。さらに,この規則を撤廃すれば,インターネット接続業者(ISP)はサービスの透明性を高めることが求められ,それがユーザーの利益につながるとしている。一方で,ネット中立性規則撤廃が決まれば,ISPが競合サービスの回線速度を遅くすることなどが可能になるため,今回の勧告に対して,動画ストリーミングサービスのNetflixなどがいち早く反対を表明している。

この方針について,FCCの委員からはすでに反対の声が上がっている。5人いるFCC委員の一人であるクライバーン氏は,11月30日にFCCサイト上で文書を発表し,その中で,パイ委員長が2015年に行っていた,ネット中立性規則についての主張やその影響の予測がいずれも正しくないことを指摘している。

楽天と浜松市,電子図書館で連携

楽天は11月1日,電子図書館サービス「Rakuten OverDrive」(以下,OverDrive)を中心とした読書環境の整備および多言語教育によるグローバル化促進に向けて,静岡県浜松市と連携協定を締結したことを発表した。協定は2019年10月末までの2年間。浜松市内に23館1分室ある市立図書館では,2018年2月から,市民が手持ちのタブレットやスマートフォン,パソコンなどからOverDriveを利用できるようになる。また所定の図書館6館程度では,楽天コミュニケーションズが提供するWi-Fi接続環境とタブレット端末を使ってOverDriveを体験できる。浜松市は人口80万人のうち外国人居住者が2万人を超えることから,多文化への理解推進,外国人への総合的な学習支援に取り組んでいる。楽天は,160万点以上の多言語作品をそろえるOverDriveのコンテンツが利活用されることで,市民の外国語教育支援・強化に資することができ,同時に,浜松市からのフィードバックにより,電子図書サービスの改善を図るとしている。OverDriveは米国の90%以上の公立図書館に導入されるなど,電子図書館プラットフォームとしては世界最大手とされるサービス。2015年に楽天の完全子会社となっている。

新Twitterルール,自殺ほう助禁止などを明文化

Twitter Japanは11月3日,Twitterルールが更新され,自殺や自傷行為の助長などが違反であることを明確にしたと発表した。この新しいルールでは他に,ユーザーから不透明と指摘されていたアカウントの「凍結」(使用制限)措置について,具体的にどのような措置が行われるかが示された。一方で,「攻撃的な行為」の項目では,強制執行の対象になるかどうか考慮するケースに「行為のニュース性が高く公共の利益にかなっている場合」が追加された。この背景には,トランプ米大統領の不適切なツイートを同社が削除しないことへの批判があるとみられる。

前橋市,ビッグデータ利用で官民共同研究を開始

前橋市は11月22日,ビッグデータによる地域課題解決を目指して,東京大学 空間情報科学研究センター,帝国データバンク,三菱総合研究所と連携協定を締結し,4者による共同研究を開始すると発表した。協定は2019年3月末まで。ビッグデータにより地域課題を「見える化」して問題意識を共有し,その課題解決手法を検討する。試行的に分析した「見える化」事例として,携帯電話のGPSデータから推計した赤城山訪問者の分析や,パーソントリップ調査(「人の動き」実態調査)の結果から推計した,市内の人の流れ分析が挙げられている。

人工知能を活用した医療画像診断支援技術

東京大学発のベンチャー企業であるLPixel(エルピクセル)は11月24日,人工知能技術を活用した医療画像診断支援技術「EIRL(エイル)」を発表した。人工知能のトレーニングには経験豊富な医師によるチェックを行ったデータを使用していることや,独自のアクティブラーニング技術により,限られた量のトレーニングデータでも高精度・高効率の学習が可能なことなどを特徴としている。EIRLを活用した,脳MRI,胸部X線,乳腺MRI,大腸内視鏡,病理などの医療画像診断支援技術の研究開発が進められている。背景には,CTやMRIなどの進化によって,画像診断の対象データ量が増え続け,日本国内に約5,500人(医師全体の2%未満)しかいない放射線診断医の業務負担増がある。今後,必要な手続きを経て,医療現場での使用を目指すとしている。

総務省,データサイエンス・オンライン講座実践編を開講

総務省は11月28日,データサイエンス・オンライン講座「社会人のためのデータサイエンス演習」を開講すると発表した。データサイエンス力の向上を目指して,ビジネスの現場で使われる実践的なデータ分析の手法を身につけることが狙い。総務省は2015年3月に,日本政府初のMOOC(ムーク:Massive Open Online Courses)講座として「社会人のためのデータサイエンス入門」を開講し,延べ約4万9,000人が受講した。今回の講座は,この入門編講座を踏まえて2016年4月に開講された,より実践的な内容の「社会人のためのデータサイエンス演習」を再び開講するもの。コースは「データサイエンスとは」「分析の概念と事例」「分析の具体的手法」「ビジネスにおける予測と分析結果の報告」「ビジネスでデータサイエンスを実現するために」という5つのテーマ(週)に分かれている。オンライン受講は無料で,2018年1月下旬まで受講登録可能。

 
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