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JSTサービス紹介
JSTサービス紹介 J-STAGEの最新状況と今後
杉本 樹信
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60 巻 (2017) 11 号 p. 832-835

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1. はじめに

科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルプラットフォームJ-STAGE(Japan Science and Technology Information Aggregator, Electronic)注1)は,2017年11月25日に画面デザインを中心とした全面的なサイトリニューアルを実施した。ここではサイトリニューアルに至った背景,2年半にわたる開発の流れ,リニューアル内容等について紹介する。

2. サイトリニューアルの背景

J-STAGEは,1999年に運営を開始し,19年目を迎えた現在では約2,500誌のジャーナル注2),約410万件の論文注3)を登載している(2017年12月12日時点)。論文データの作成・公開・運用(閲覧者からの問い合わせ対応等)は学協会注4)が行い,J-STAGEのシステム運用・開発はJSTが実施している。またJ-STAGEは,サービス開始時は日本の学協会の発行する学術誌の電子化を主目的としていたが,現在ではさらに日本の科学技術刊行物の国内外への発信およびオープンアクセスの推進を目的としている1)。実際,約9割の論文が無料で閲覧できることがJ-STAGEの特徴の一つである。

しかしながら,国内外への発信,とりわけ国際発信力の強化については,より一層の強化が望まれていた。2013年6月に報告された「J-STAGE事業のあり方について」2)において,「J-STAGEは国際発信力強化により一層積極的に貢献していかなければならない」と方針が定められ,セミナー等で学協会に啓発活動注5)を行う一方,画面インターフェースについて多くの課題が残っていた。具体的には,直感的に操作しにくい,海外閲覧者から見て表示される英語が不自然で,サイトデザインがなじみのない一昔前のデザインである,学協会が自身の情報を効果的に発信するしくみがない等が挙げられる。

こうした課題を抱えていたため,J-STAGEのサイトデザインを一新し,誰もが使いやすいJ-STAGEへとするシステム開発が計画された(1)。

図1 J-STAGEの来歴

3. J-STAGE評価版の開発

前章の背景から,J-STAGEの画面デザイン変更についての検討を2015年3月から開始した。デザイン変更に当たっては,以下の進め方をとることとした。

  • (1)新デザインを適用した試験サイトを開発し,現存J-STAGEと並行して公開する。
  • (2)新デザインに対する意見を一般募集する。
  • (3)集まった意見を基に試験サイトのデザインを改修する。
  • (4)J-STAGEに新デザインを適用する。

なお試験サイトは評価されることを目的に試験公開するため,「J-STAGE評価版」と命名した(以下,評価版)。

評価版の開発に当たっては,システム開発とは別に,海外のジャーナルプラットフォームデザインを取り入れたサイトデザインの制作を発注し,「(1)見やすく,使いやすいジャーナルサイトへ」「(2)関連する学術情報を紹介」「(3)学協会自らが独自の工夫でジャーナルをアピール可能」の3つの基本開発方針の下,分野・国籍の異なる複数のジャーナルサイト(PLOS ONE, Oxford Journals, Elsevier, Springer, PeerJ, eLife, IEEE Xplore)の特徴と比較し参考にしながら,デザイン制作を行った。

またデザイン制作と並行し,評価版のシステム開発を行った。あくまで画面デザイン評価用の試験サイトのため,J-STAGEの全機能はもたせない,最小限の開発とした。

4. 評価版の公開・反響

評価版を2016年5月18日に公開した。公開誌は全誌ではなく,英文誌であること,全論文無料で公開していること,発行頻度や全文HTML論文の有無等を総合的に考慮し,モデルとした学会からの3誌注6)のみとした。モデル学会である日本薬学会,日本機械学会へは評価版開発時から何度も訪問し,編集委員の先生方および論文登載作業を行う事務局担当者の方に画面デザインや新機能について現場視点で助言をいただいた。また評価版公開前の事前データ入力,評価版公開後のデータ更新等,長期にわたってご協力いただいた。両学会にはご尽力を賜り厚くお礼申し上げる。

評価版公開後の反響は大きく,評価版に設けたフィードバックフォームには76名から168項目の要望等が集まった。また学協会を直接訪問し,デザインや使い心地についてヒアリングを行った。学協会の中には「今すぐ利用したいのでうちのジャーナルもモデル誌として公開してほしい」とコメントをいただいたところもあった。

いただいた要望については開発期間や予算が限られる中,可能な限り対応し,また評価版開発時に含めなかった論文の認証機能やMy J-STAGE機能等の開発も併せて実施し,J-STAGEのリニューアルに備えた。

5. J-STAGEのリニューアル

2017年11月25日,晴れて新デザインのJ-STAGEをリニューアルオープンした。リニューアル後は画面が見やすくなっただけでなく,学協会が自身のジャーナルや論文の情報をこれまで以上に簡易かつ詳細に表示できるようになっている(2)。以下に新機能をいくつかピックアップして紹介する。

  • (1)ジャーナル紹介文
  •  ジャーナルの概要,歴史,発行形態等を簡単かつ効果的に紹介できるようになった。ジャーナル紹介文を充実させることで,ジャーナルへの深い理解や投稿へのきっかけにつながると期待される。

  • (2)編集委員(エディトリアルボード)紹介
  •  ジャーナルの編集委員を氏名,所属,連絡先,顔写真,紹介文等で紹介できるようになった。これにより学協会の信頼性向上につながると期待される。

  • (3)おすすめ記事紹介
  •  学協会が推奨する論文をジャーナルトップページに大きく掲載可能となった。また論文と併せて学協会からのコメントも掲載できるため,これにより学会賞受賞論文やノーベル賞受賞論文等,学協会が一押しする論文を紹介文付きで紹介できるようになった。

  • (4)ランキング表示
  •  J-STAGE全体およびジャーナルごとの月間アクセス数ランキングを新たに表示するようになった。これにより,別の論文を読みに来た閲覧者が人気のある論文を読むきっかけとなることが期待される。

  • (5)ウィジェットエリア
  •  学協会からのお知らせ,リンクバナー,ダウンロードファイル配置,関連ジャーナル等の掲載を学協会が自由に行えるウィジェットエリアをジャーナルページおよび書誌ページに用意した。これまでJ-STAGEではジャーナルの情報を発信することが難しいつくりとなっていたが,本機能の実装により,学協会が容易にお知らせ等を発信できるようになり,閲覧者との距離が縮まることが期待される。

  • (6)モバイル対応
  •  これまでJ-STAGEはPC画面の表示にのみ対応しており,スマートフォンやタブレットからの閲覧は適さないWebサイトとなっていた。今回のリニューアルでモバイル対応(レスポンシブ対応)を行い,モバイル端末からも検索や閲覧がしやすいWebサイトとなっている。

ここでは新機能のすべて(1)を紹介することができず主要なものにとどめるが,これら新機能によって各学協会が特色のあるジャーナルページを作成することができるようになり,また閲覧者も目的の論文以外に,新たな気づきにつながる別論文にたどり着きやすくなっている。新機能の詳細についてはリリースノートをご確認いただきたい注7)

サイトリニューアル後,J-STAGEの閲覧者からは「使いやすくなった」「見やすくなりました」「スマホ対応されてよかった!」という声が上がっている。また学協会がジャーナルや論文の情報を発信しやすくなったことで,ジャーナルのブランド力向上につながることを期待する。

図2 リニューアル後のJ-STAGE
表1 J-STAGEの新機能一覧

  • ◆J-STAGEトップ
  • ・My J-STAGE自動ログイン機能
  • ・月間アクセス数ランキング表示

  • ◆ジャーナルページ
  • ・インパクトファクター表示
  • ・おすすめ記事紹介
  • ・月間アクセス数ランキング表示
  • ・ジャーナル紹介文掲載
  • ・編集委員紹介
  • ・ウィジェットエリア(発行機関からのお知らせ等の表示エリア)
  • ・メタデータダウンロード(これまでのRIS形式・BIB TEX形式に加え,新たにテキスト形式を追加)

  • ◆書誌ページ
  • ・固定メニュー表示
  • ・文献管理ツールMendeleyとの連携
  • ・関連記事情報,著者関連情報の表示(J-GLOBAL連携)
  • ・閲覧履歴の表示

  • ◆全文HTMLページ
  • ・固定メニュー表示
  • ・引用文献のマウスオーバー表示

  • ◆その他
  • ・モバイル対応
  • ・フィードバックボタンの設置
  • ・詳細検索で類義語の予測表示(J-GLOBAL連携)

6. 今後

サイトリニューアル後も引き続きフィードバックを受け付けているが注8),非常に多くの要望をいただいている。また画面デザインや機能改善以外に,アクセス増加に伴うレスポンス遅延の改善や外部サービスとの連携強化といった課題も存在する。引き続きシステム面・サービス面ともに強化し,日本の科学技術刊行物の国内外への発信およびオープンアクセスの推進へとつなげていきたい。

(科学技術振興機構 知識基盤情報部 杉本樹信)

本文の注
注2)  厳密にはジャーナル以外の出版物も存在するが,本著では総称してジャーナルと呼ぶ。

注3)  厳密には論文以外の記事も存在するが,本著では総称して論文と呼ぶ。

注4)  厳密には学協会以外の発行機関も存在するが,本著では総称して学協会と呼ぶ。

注5)  2014年6月20日にセミナー「Web of Scienceと国際発信力強化へのソリューション:ジャーナルの『自画像』を分析し,戦略を立てる」を開催。https://www.jstage.jst.go.jp/static/pages/News/TAB4/PastIssues/-char/ja#140523_2

注6)  日本薬学会:「Chemical and Pharmaceutical Bulletin」「Biological and Pharmaceutical Bulletin」,日本機械学会:「Mechanical Engineering Letters」の3誌。

注7)  リリースノート「J-STAGE画面リニューアルについて」:https://www.jstage.jst.go.jp/static/files/ja/jstagenewif_releasenote.pdf

注8)  J-STAGEサイトの右側にあるfeedbackフォームより,閲覧者の要望等を受け付けている。https://form.jst.go.jp/enquetes/jstage-feedback-ja

参考文献
 
© 2018 Japan Science and Technology Agency
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