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JSTサービス紹介
JSTサービス紹介 国内最大級の研究者総覧 researchmap
坪井 彩子大須賀 治子
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60 巻 (2017) 12 号 p. 906-909

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1. はじめに

科学技術振興機構(JST)が運営するresearchmapは,26万人以上の研究者情報を有する国内最大級の研究者データベースである。本稿では,researchmapのサービスについて,機関での利用状況についても触れながら解説する。また,現在開発を進めている次期researchmapについても,その概要を紹介する。

2. researchmapの概要

国内最大級の研究者データベースであるresearchmapは,国内の研究者情報の分散や非効率性を解消し,一元管理を目指す目的でサービスを提供しており,インターネット上で誰でも無料で使用できる。JSTが主体として運営し,JSTからの委託により,国立情報学研究所(以下NII)がシステムの研究開発を実施している。

researchmapの前身であるReaD(研究開発支援総合ディレクトリ)は,産学連携を目的として,1998年からJSTが提供を行っていた。このReaDには,研究者情報,研究機関情報,研究課題情報,研究資源情報の4つのディレクトリを収録していた。一方NIIは,2009年から研究者向けのサービスとして,研究者情報の登録の他にSNS機能も備えたResearchmapの提供を行っていた。これら2つは,どちらも研究者情報を扱うサービスであることから,2011年に統合し,ReaD&Researchmapとして提供を開始した1)。そして,2014年に,現在の名称であるresearchmapにサービス名を変更し,現在に至る。

researchmapの登録研究者数は年々増加しており,2017年11月時点で26万人を上回る(1)。また,2016年度の研究者情報へのアクセス数は,約2,970万ページビュ-であり,こちらも年々増加している。

researchmapに登録すると,マイポータルと呼ばれる研究者ごとのページが提供される。ここには,氏名や所属,部署,職名といった,名刺に記載するような基本的な情報に加えて,プロフィールや経歴,さらに業績情報などを1枚のページにまとめて登録,表示することができる(2)。業績情報としては,1に記載された17項目が登録可能である。

さらに,業績情報の登録を効率的に行うために,researchmapでは業績のフィード機能を提供している。これは,研究者が業績を登録する際,外部のデータベースにすでに登録されている情報があればその情報を取り込むことができる機能である。この機能を使用することで,研究者は,1件ずつ業績のタイトル,著者名,雑誌名,発行年月日等を手入力する手間を省くことができる。なお,現在この機能が利用できる外部のデータベースは2に記載のある12種となっている。この中のScopus,Web of Scienceおよび,医中誌Webは有料のデータベースであるが,researchmap上で使用する場合には,無料で使用することが可能である。

その他,researchmapは業績管理機能だけではなく,コミュニティ機能も提供しており,researchmapに登録している研究者同士でコミュニティを作成し,掲示板等を使って連絡を取り合うことなどができる。このコミュニティは,公開・非公開という公開レベルや,招待制コミュニティとするなどの参加方法も自由に選ぶことができる2)

さらに,researchmapでは,複数の他システムとの間で登録情報の連携を行っている。

府省共通研究開発管理システム(e-Rad)では,researchmapのIDとの関連づけを行うことにより,一部の公募について申請時にresearchmapに登録のある業績情報を利用できる。その他,JSTの提供するJREC-IN Portal(高度研究人材向けの求人・求職データベース)では,履歴書や業績一覧を作成する際にresearchmapに登録している業績データを取り込むことが可能であり,効率的に応募書類を作成することができる。

図1 登録研究者数の推移
図2 マイポータル画面(例)
表1 登録可能な業績項目
項目
1 研究キーワード
2 研究分野
3 経歴
4 学歴
5 委員歴
6 受賞
7 論文
8 Misc※
9 講演・口頭発表
10 書籍出版物
11 所属学会協会
12 Works
13 競争的資金等の研究課題
14 担当経験のある科目
15 特許
16 社会貢献活動
17 その他

※Misc:査読なしの論文

表2 利用可能な外部データベースとresearchmap業績項目への反映一覧
データベース名 取り込める情報 researchmapの業績項目
1 Amazon 書籍情報 書籍
2 ArXiv 学術論文情報 論文・Misc
3 CiNii Articles 学術論文情報 論文・Misc
CiNii Books 日本の大学図書館所蔵書籍情報 書籍
4 DBLP 情報処理分野の学術論文情報 論文
5 e-Rad e-Radに登録した業績情報 論文,書籍,特許,講演,口頭発表
6 J-GLOBAL 学術論文情報,特許情報 論文・Misc,特許
7 KAKEN 科研費獲得情報,経歴情報 経歴,競争的資金等の研究課題
8 ORCID 学術論文情報 論文
9 PubMed 医学・バイオ系学術論文情報 論文
10 Scopus 学術論文情報 論文・Misc
11 Web of Science 学術論文情報 論文
12 医中誌Web 医・歯・薬・看護学系学術論文情報 論文・Misc

3. 機関におけるresearchmapの利用

researchmapは,研究者個人としての利用だけでなく,大学・研究機関等からも有効に活用されている。機関での利用においては,自機関に所属する研究者の情報を一元的に管理できるという大きな利点がある。また自機関研究者がresearchmapに登録したデータを取り込み,機関の研究者総覧でそのまま公開することもでき,大学のデータベース運営にかかる負担を大きく軽減できる3)

現在,機関においてresearchmapを活用した研究者総覧を公開する方法には,下記の2種類がある。

  • (1)研究者情報をresearchmapから自機関データベースに取り込み,研究者総覧として利用
  • (2)自機関ではデータベースをもたずresearchmapをマスターデータベースとし,自機関Webページからresearchmapへリンクを張って利用

(1)の場合,研究者情報の取り込みにはresearchmapの提供するWebAPIを利用する。機関がオリジナルの研究者データベースをもっている場合に有効な方法であり,北海道大学などで利用されている。一方,(2)は,機関がデータベースをもっていない場合,もしくは比較的簡易なデータベースを運営する場合に有効な方法である。

researchmapを利用する機関のメリットとして,転入,新規採用した研究者の業績をすぐに把握し,研究者総覧・業績入力システムに反映することができる点や,研究者総覧・業績入力システムの開発・保守コストが削減できる点が挙げられる。加えて,機関では契約していない有料の論文データベースからの業績の取り込みができるという利点もある。これらのことから,researchmapをマスターデータベースとして運用する機関は増加傾向にあり,2017年3月末時点で,98機関となった4)。それぞれの機関に適した方法で,ますますresearchmapの活用の幅を広げていただくことを期待する。

4. 今後の計画

現在JSTおよびNIIは,2019年度のサービス開始を予定し,次期researchmapの開発を行っている。次期researchmapでは,研究者ならびに機関から寄せられた要望を基に,以下のような機能の実装を予定している。

  • ・従来のユーザーインターフェースを全面的に見直し,検索のしやすさ,入力のしやすさを考慮したインターフェースとし,レスポンシブデザインに対応する。

    ・研究者の業績情報を収集し自動入力する機能や,共著者設定された研究者の業績を自動入力する機能を設ける。

    ・研究者,機関からの意見を取り入れ,業績項目の追加拡充を行う。また,機関ごとにカスタマイズ可能なカスタム項目を各業績に追加する。

    ・検索機能を強化し,従来の検索条件の他,論文名など業績や添付ファイルを対象とした検索に対応する。

    ・自由記入となっている項目について,標準化と名寄せを行い,機械可読性を向上させ,より分析に適したデータ構造とする。

5. おわりに

本稿ではresearchmapに関して,利用状況や提供機能,機関での活用方法などについて紹介した。また,次期researchmapの開発についても言及した。このような取り組みを通じて,researchmapの機能をさらに充実させ,研究者,研究機関の業績管理の効率化促進へつなげていきたい。

(科学技術振興機構 知識基盤情報部 坪井彩子,大須賀治子)

参考文献
 
© 2018 Japan Science and Technology Agency
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