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JSTサービス紹介
JSTサービス紹介 研究人材のためのJREC-IN Portal
川井 千香子
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2018 年 60 巻 12 号 p. 910-914

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1. はじめに

今回紹介する,科学技術振興機構(JST)が提供する「JREC-IN Portal」注1)は,研究者や研究支援者,技術者,教育者などの研究人材のキャリア支援を目的とし,イノベーション創出のための人材流動や,多様なキャリアパスの実現に,情報提供媒体として貢献している無料のインターネットサービスである。2001年に「JREC-IN」としてサービスを開始してから,2018年で18年目を迎えた。

2. JREC-IN Portalでの求人・求職支援の概要

JREC-IN Portalの利用者は大きく分けて,博士人材等の研究人材を採用したい機関(以下,求人機関)と,研究関連職の求人情報やキャリア支援情報を求めている個人(以下,ユーザー)である。利用者(機関も含む)の責任において,JREC-IN Portalへ情報が登録され,求人・求職時や自己研鑽(けんさん)時などに利用されている。2017年度の登録ユーザー数は13万人以上,年間に掲載される新規求人情報は1万7,000件以上,求人・求職者情報の詳細画面への年間アクセス数は1,800万件以上となっている。以下,JREC-IN Portalで提供している情報について主なものを紹介する。

(1) 求人情報

まず,求人機関が登録している情報のメインは,専門性が求められる研究人材向けの「求人情報」である。科学技術分野に限らず,人文社会,社会科学,医学,芸術など幅広い分野の求人情報がJREC-IN Portalに寄せられている。時代を反映した新規成長分野の求人なども数多く見受けられる。国内ほぼすべての国公私立大学と高等専門学校,研究開発系独立行政法人,国立研究機関の利用実績がある他,民間企業,小中高等学校,海外研究機関,国際機関等にも利用が広がっている。1は求人機関登録の対象機関である。

過去から現在にかけて,現場から求められてきた職種は,研究開発職以外にも,リサーチアドミニストレーターや産学連携コーディネーターといった研究管理職,リサーチアシスタントやテクニシャンといった研究支援職,技術営業職,学術誌の編集,広報,国立や私立の小中高等学校教員職等と多様である。

なおユーザーが,これらの求人情報をWeb上で閲覧する方法以外に,より効率的に求人情報を入手する方法として,希望する機関種別(大学,独法,企業など)や研究分野,職種,勤務形態(常勤/非常勤,任期有無)などを事前に登録し,新着情報と更新情報の中から条件に合うものをマッチングメールとして受け取るという方法がある。

表1 求人機関登録の対象機関
日本国内の
機関
国立大学,公立大学,私立大学,短期大学,高等専門学校,専門学校(専修学校専門課程),小中高等学校,大学校,大学共同利用機関法人,独立行政法人,国立研究機関,省庁,公設試験研究機関,地方自治体,特殊法人,認可法人,(※1)公益法人,(※1)民間企業
海外の機関 (※2)大学,(※2)公的研究機関,国際機関

※1 これらの機関については,登録にあたり公募内容等の確認を行う。

※2 これらの機関については,下記(a)~(d)のいずれかを満たしている必要がある。

 (a)日本政府または公的機関と,覚書・協定等を結んでいること

 (b)日本の大学または公的研究機関と,覚書・協定等を結んでいること

 (c)日本の大学または公的研究機関と,共同研究等の実績があること

 (d)上記(a)~(c)に準ずるとJSTが判断できること

(2) 求職者情報

次に,ユーザーが任意で登録している「求職者情報」を紹介する。求職者情報とは,求人機関に対する自らの匿名アピール情報のことである。2は,求職者情報の登録項目を示している。2の3,17,18の項目を使い,氏名を明かしてのアピールも可能となっている。2の1の項目で情報閲覧・検索を許可された求人機関は,アピール者個人に対してオファーメール(以下,求職者照会メール)を出すことができる。

この求職者情報および求職者照会メール機能は,JREC-INとしてサービスを開始した当初から備えていた機能だが,JREC-IN Portalを利用している大学ではこれまであまり利用されてこなかった。しかし,産業界での博士人材の活躍が強く望まれている今日,JREC-IN Portalを利用している民間求人機関からは,「求職者のプロフィールを確認でき,直接オファーメールを出せる仕組みがほしい」との希望があることが,2017年9月下旬から10月上旬にかけて実施したアンケート結果(1)より判明した。

表2 求職者情報の登録項目
1 公開機関(自らの求職者情報を閲覧・検索させてもよい機関種別)
2 公開開始日
3 researchmapマイポータルへのリンク情報
4 年齢
5 現所属機関種別
6 現職種
7 現勤務形態
8 取得学位
9 経験・実績(国内外での研究経験,論文業績や特許業績,受賞歴,研究管理・支援経験,共同研究経験等の件数)
10 研究分野(求職分野)
11 キーワード(研究内容などに関するキーワード)
12 研究テーマ
13 所属学協会
14 希望職種
15 希望勤務形態
16 希望勤務地
17 その他自己PR(経験・実績・スキル等の詳細他)
18 URL(個人のWebサイトなどを公開したい場合)
図1 登録民間求人機関へのアンケート結果

3. Web応募機能と応募書類作成支援機能

JREC-IN Portalの主な機能は2に示したとおりだが,中でも「Web応募機能」や「応募書類作成支援機能」は,応募者や求人機関の事務処理負担の軽減につながるものとして,ぜひ利用をお勧めする機能である。

(1) Web応募機能

Web応募機能は,求人機関がJREC-IN Portalで「利用する」と選択した場合に利用することが可能となる。応募者は従来紙媒体で郵送していた応募書類をJREC-IN Portalの画面にアップロードすることで,求人機関に提出することができる。応募者にとっては,申請書類を印刷し記入後,採用機関に郵送していた手間を省け,応募後は応募内容や応募状況を確認することが可能となる。求人機関側にとっても,応募者の詳細情報確認,応募書類のダウンロード,応募状況の変更・通知がWeb上でできるため,管理の簡便化が期待できる。

(2) 応募書類作成支援機能

Web応募機能を利用する際に,併せてぜひ活用してほしいのが,応募書類作成支援機能である。この機能は,ユーザーや学術コミュニティーから強く要望されていたものである。「それぞれの機関で応募書類の書式がバラバラなため,申請のたびに書類を作成し直すのが大変」「日本最大級の研究者総覧であるresearchmap注2)と連携して,1度のデータ入力で,履歴書,業績リストといった書類を統一様式によって出力可能にしてもらいたい」等の意見を踏まえ,researchmapとID連携をすることで,researchmapに登録した業績情報を取り込み,応募書類(履歴書と業績リストの2種類)を効率的に作成できるようにしている。なお,researchmapからの情報を取り込む場合には,ユーザマイページへログインする際に,researchmapのIDとパスワードでログインする必要がある(3)。

図2 JREC-IN Portalの主な機能
図3 JREC-IN Portalログイン画面

4. キャリア啓発・形成に役立つ各種情報

厚生労働省Webサイト1)には,キャリアコンサルティングの流れとして4が示されており,キャリア形成の各段階において,キャリア支援時に必要とされている情報等が一般的にどういったものかを理解することができる。

JREC-IN Portalでは,博士人材等の研究人材にとって,4の「(4)意思決定」以降の行動がしやすくなるよう,(1)自己理解,(2)仕事理解,(3)啓発的経験に役立つ情報を提供している。具体的には,イベント情報や研究助成金・補助金等情報,博士人材や採用機関担当者へのインタビュー,Vitae注3)のスキルマップ(Contents of Vitae RDF)等がある。また,旧WLP事業注4)で作成した「技術者の継続的能力開発」注5)に役立つeラーニングコンテンツ(研究人材のためのe-learning)も学習できるようになっている。

eラーニングコンテンツはログインする必要があるが,そのほかのキャリア啓発・形成に役立つ各種情報は,ログインなしで誰もが閲覧可能となっており,求人・求職時の意思決定や判断に必要とされる各種情報として気軽に活用できる。

図4 キャリアコンサルティングの流れ

5. 各所におけるJREC-IN Portal活用と今後

JREC-IN Portalは,サービス開始以来,利用者の皆さまに支えられるとともに,皆さまのご意見・ご要望を反映させることで,サービスの充実を図ってきた。その結果,5に示すとおり,国を含め,関係各所で実施されているさまざまな博士人材等の研究人材の人材流動や人材育成の取り組みの推進に不可欠な情報提供媒体となっている。

今後も引き続きJREC-IN Portalは,博士人材等の研究人材のキャリアパスの多様化や国内外への研究人材流動等に貢献していくとともに,キャリア支援時に必要な各種情報を集約共有化できるポータルサイトとして,関係各所と連携し,時代の求めに即した情報提供の充実を図っていく。

(科学技術振興機構 知識基盤情報部 川井千香子)

図5 各所における取り組みとJREC-IN Portalとの関係

本文の注
注1)  JREC-IN Portal:https://jrecin.jst.go.jp

注2)  researchmap(リサーチマップ):日本の研究者約26万人が登録する研究者総覧。サービスの提供および運用はJSTが行い,サービスに関する研究開発はNII(国立情報学研究所)がJSTの委託を受けて行っている。https://researchmap.jp/

注3)  Vitae:高等教育機関,研究機関の博士研究者や研究スタッフ,博士課程に在籍する大学院生の自己啓発,専門的能力開発およびキャリア開発を支援する英国の非営利の全国的ネットワーク組織。https://www.vitae.ac.uk/

注4)  旧WLP事業(旧Webラーニングプラザ事業):技術者の継続的能力開発や再教育の支援を目的とした,技術者向けeラーニングサービス(2001年から情報提供開始)。2014年10月よりJREC-IN Portalへ統合。

注5)  継続的能力開発(Continuing Professional Development: CPD):技術者が自己の知識や技能の向上のために行う活動を指す。各学協会では,会員に対して能力向上のためのプログラムを提供するとともに,講習会参加,論文発表,委員会活動,社会貢献など,さまざまな活動を評価する「CPDポイント」の付与を行っている。

参考文献
 
© 2018 Japan Science and Technology Agency
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