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情報界のトピックス
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60 巻 (2017) 12 号 p. 929-931

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エルゼビア,ドイツの大学に契約なしでのアクセス認める

ドイツでは多くの主要大学が,エルゼビアとの電子ジャーナル購読契約を更新せず,2017年末で契約を終了している(経緯についてはvol. 60, no. 6の本欄を参照)。しかし1月4日付のnature記事内で,エルゼビアは,契約切れの状態でも電子ジャーナルへのアクセスを認めることを明らかにした。エルゼビアは2018年第1四半期も,2018年分の契約と,より長期的な契約について,ドイツと国レベルでの交渉を継続する姿勢を示している。そのうえで,既存契約の1年間延長について大学コンソーシアムと協議する間は,電子ジャーナルへのアクセスを維持することを,大学側に通知したとしている。

ネット中立性規則撤廃に反対の動き広がる

米連邦通信委員会(FCC: Federal Communications Commission)が12月に行った,ネット中立性規則を撤廃する評決に反対する動きが広がっている。1月16日には,ニューヨーク州やカリフォルニア州,オレゴン州,ワシントンDCなど22州の司法長官が共同で,FCCの「違法な評決」を阻止するための訴訟を起こした。この訴訟を呼びかけたニューヨーク州のシュナイダーマン司法長官は声明で,連邦法の下では,FCCはネット中立性規則のような既存の政策に対して,「独断的で気まぐれな」変更を行うことはできないと指摘。さらに「ネット中立性の撤廃によって,インターネットサービスプロバイダーは消費者よりも利益を優先するようになり,同時に消費者のオンライン行動を監視するようになる。これがニューヨーク州の消費者やビジネスに与える影響は非常に大きい」とした。

同じ1月16日,連邦議会の上院民主党は,FCCの評決を覆すための決議に,民主党上院議員49名と,共和党上院議員1名が賛成していることを明らかにした。上院民主党は,連邦議員の過半数の賛成があれば,行政機関が定めた規則を無効化できる「議会審査法」の適用を目指している。また1月22日には,モンタナ州のブーロック知事(民主党)が,州と契約する企業にネット中立性規則の順守を求める行政命令に署名している。

民間企業などでは,ブラウザ「Firefox」などを開発するMozillaが同1月16日,ネット中立性を守るため,FCCを相手取った訴訟を起こしたことを明らかにした。また,ハンバーガーチェーン大手のバーガーキングは,商品の出てくる時間を3段階の料金体系で区別するという,ネット中立性をハンバーガーの注文に例えて説明する動画を公開している。

UCL,OAメガジャーナルを創刊

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)は1月16日,英国の大学としては初めてとなる,オープンアクセスのメガジャーナルを創刊すると発表した。UCL Pressが刊行する新しいジャーナルは,オープン・ピアレビュー方式を採用した分野横断型プラットフォームとなる予定だが,当初は環境科学分野でモデルの検証を行う。名称は未定。オープンアクセス・メガジャーナルでは,PLOS ONEやScientific Reportsが有名。大学出版局が発行するものとしては,カリフォルニア大学出版局が2015年から運営しているCollabraがある。UCL Pressは,モノグラフのオープンアクセス出版で成功しており,これまでに50タイトルを刊行し,65万回ダウンロードされている。

米政府文書公開サイト「govinfo」が正式公開

米国政府印刷局(U.S. Government Publishing Office)は1月24日,米国政府の公式文書公開サイト「govinfo」がベータテスト段階を終了し,正式公開したことを発表した。一方で,先行サイトの「FDsys」は2018年末に閉鎖予定としている。

米国著作権局,過去のカード目録をデジタル化

米国著作権局(U.S. Copyright Office)は1月24日,過去の著作権カード目録をWeb上で閲覧できる「仮想カード目録」(Virtual Card Catalog)の概念実証を開始したことを発表した。米国著作権局では,1870年から1977年までの著作権登録の原情報を,物理的な「米国著作権カード目録」として保有している。今回,仮想カード目録としてデジタル化されたのは,1955~1977年の目録で,1955年から1970年までと,1971年から1977年までの2つに分かれている。2つのカード目録は計6,500の仮想的な「引き出し」をもち,それぞれに1,500枚の「カード」が格納されている。ユーザーは仮想的な引き出しを開けて,実際のカードをスキャンしたカラー画像やメタデータを閲覧できる。今回の概念実証は,仮想カード目録の実現可能性や,潜在的な利用ニーズを実証することを目的としている。今回得られるフィードバックは,将来,米国著作権局の歴史的な登録カードを電子化する際に生かすとしている。

内閣府,オープンサイエンスの専門家会合を設置

内閣府は,オープンサイエンスの推進についての専門家会合「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会」を設置し,2017年12月27日に第1回会合を開催した。データポリシー(データの利活用の方針)などが不十分だと諸外国との国際共同研究において不利益を被る可能性があるが,現状では一部の研究機関や研究資金配分機関によるデータポリシーやデータマネジメントプランの策定要請にとどまっているという分析がこの会合で示された。それに対する具体的施策として,競争的研究費におけるデータの共有・公開への対応の検討や,既存のデータリポジトリの充実を中心とした基盤整備,研究データの散逸防止の施策やDOI付与の仕組みの構築,データ共有・公開に対する評価の取り組みを挙げている。一方で,データの共有・公開の際の公開・非公開については,データの特性や内容を踏まえて,研究プロジェクトや研究機関におけるデータマネジメントポリシーなどで定めるという方向性を示している。特に,機密情報や国家安全保障に関わるデータや,契約条件などにより公開に制限のあるデータなど,公開になじまない種類のデータは非公開,または公開を制限するとしている。

NICT,量子コンピューターでも解読できない新暗号方式開発

情報通信研究機構(NICT)は1月11日,量子コンピューターでも解読が困難な新暗号方式「LOTUS」を開発したと発表した。現在,Webブラウザの暗号化に使われているRSA暗号や楕円(だえん)曲線暗号などの公開鍵暗号は,ある程度の性能の量子コンピューターによって簡単に解読可能であることが数学的に証明されている。NICTが開発したLOTUSは,「耐量子性」(量子コンピューターでも解読が難しいこと)と「汎用性」(復号の際に暗号文をチェックする機能をもち,ブラウザやデータベースをはじめ多くのシステムに組み込めること)という条件を備えている。米国国立標準技術研究所(NIST)は2016年から,現在の公開鍵暗号を置き換える耐量子計算機暗号の標準化プロセスを開始している。

東大松尾研究室,ディープラーニング演習コンテンツを一般公開

人工知能技術を研究する東京大学松尾研究室(松尾豊特任准教授他)は1月24日,同大の公開講座「Deep Learning基礎講座」で使用している演習コンテンツを個人利用向けに無償公開した。同研究室では,実践型のデータサイエンティスト育成講座やディープラーニング講座を公開講座として4年以上運営してきており,公開されたコンテンツはそうした授業で実際に使われたもの。すべてのトピックが演習中心に構成されているのが大きな特徴。ディープラーニングの新しいモデルの構築や,高度な研究・開発を行うのに必要な知識が基礎から学べるようになっており,実際にモデルを学習させながら技術を習得する本格的な演習内容だとしている。

特許庁,地域団体商標マークを決定

特許庁は1月25日,地域の名物が地域団体商標として登録されていることを示す「地域団体商標マーク」(1)を発表した。このマークを登録された名産品のパッケージやチラシ,広告に用いることで,その商品の認知度の向上やブランド力アップにつなげたいとしている。地域団体商標制度では,一定の要件を満たせば,地域名と商品名(サービス名)のみからなる商標を「地域団体商標」として登録することができる。2006年の創設以来,地域ブランドの証しとして地域の産業発展に活用されてきた。2017年末の時点で617件が登録されており,例としては「青森の黒にんにく」「有田みかん」「玉造温泉」などがある。

図1 地域団体商標マーク
 
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