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情報界のトピックス
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2017 年 60 巻 2 号 p. 141-142

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中国初の知財権評価・認証機構が設立

2月27日,中国初の国家レベルでの知的財産権の評価・認証機構「国専知識産権評価認証センター」が北京に設立され,運用を開始した。これは国家知識産権局(知財局)中国特許技術開発公司の申請により設立されたもの。2016年に,中国の発明特許出願件数は前年比21.5%増の133万9,000件に達し,6年連続で世界最多となったが,中国の知的財産権に関しては,その評価・保護・融資等が十分に進んでおらず,特に評価能力が低いとされている。同センターが中国の知的財産権の産業化・資本化・国際化をサポートすることが期待されている。

1gのDNAに215ペタバイトのデータを保存する技術に成功

コロンビア大学とニューヨークゲノムセンター(NYGC)のYaniv Erlich氏らは,3月3日にScience電子版に公開された論文で,DNAの4つの塩基(A,G,C,T)に対応するように情報をエンコードできる新手法「DNA fountain」を開発し,1gのDNAに215ペタバイトの情報を保存することに成功したと発表した。Erlich氏らがDNAに保存したのは,コンピューターのOS,1895年のフランス短編映画,50ドルのAmazonギフトカード,コンピューターウイルス,1948年の研究論文1編,宇宙探査機パイオニアに積まれた記念プレートのデータなど。全体では,7万2,000のDNAフィラメントからなるデジタルリスト(テキストファイルの状態)が生成され,これをサンフランシスコにあるDNA合成のスタートアップ企業が実際のDNA分子に保存した。このDNAに対し,シーケンス技術を使って情報を復元したが,その際にエラーはなかった。この手法を使えば,1gのDNAに215ペタバイトの情報を保存できる。DNAに情報を保存するというコンセプト自体は以前からあり,2016年7月にはマイクロソフトがDNA鎖に200メガバイトのデータを保存することに成功している。今回の新手法では,従来よりもはるかに大量のデータの保存が可能になる。DNAへのデータ保存は,カセットテープやCDなどの既存媒体のように劣化することもなく,非常に長期間(数十万年)保存でき,フォーマットが古くならないという利点があるとされている。

Google,動画内の検索を可能にする技術を発表

Googleは3月8日,動画内の検索を可能にする技術である「Cloud Video Intelligence」のAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)のベータ版提供を開始した。この技術は強力なディープラーニングモデルを採用しており,動画コンテンツに含まれる対象の情報を指定するだけで,YouTubeなどの動画コンテンツを検索し,求める動画を発見することができる。検索対象には「犬」「花」「人」のような名詞だけでなく,「走る」「泳ぐ」「飛ぶ」といった動詞も指定できる。また,Google Cloud Storageに格納されている動画にすばやくアノテーション(メタデータやタグなど)を付与できるので,動画の主要な対象物を識別し,動画内に出現するタイミングも把握できる。

近大に漫画2万2,000冊を収蔵する新図書館開設

近畿大学は3月2日,同大東大阪キャンパスに新学術拠点「ACADEMIC THEATER」が4月6日にオープンすると発表した。ここの中核施設として,図書館「BIBLIOTHEATER(ビブリオシアター)」がある。この図書館には,編集工学研究所所長の松岡正剛氏監修による独自の図書分類「近大INDEX」によって分類された約7万冊が収蔵されており,そのうちマンガが約2万2,000冊を占めるのが特徴。松岡氏は「図書館ではない超図書館モデルを提供してみたかった」とコメントしている。ACADEMIC THEATER内には他に,24時間利用可能な自習室や,米国のニュース専門放送局CNNがプロデュースするカフェ「CNN Café」などがある。

タブレット端末,導入した高校の半数が十分に活用できず

教育出版社の旺文社は,全国の高等学校におけるICT活用状況について調査を行い,3月8日,その結果を発表した。回答した全国1,346校で最も多く導入されているICT機器は「電子黒板・プロジェクター」で,72.3%の学校が導入していると答えた。最近注目されているタブレット端末については,約3割の学校が1台以上導入しており,特に導入割合や平均導入台数で私立高等学校が国公立校を上回っていた。一方で,導入済みの学校の約半数が,「あまり活用できていない」「まったく活用できていない」と答えている。活用に向けての課題では,「教員の活用スキルの引き上げ(75.1%)」が最も多く,次いで「十分な端末数の配備(61.1%)」「ネットワーク環境の整備(60.3%)」などハードウェア・環境面の課題が多く指摘された。また,今後タブレット端末導入を予定していると回答したのは約2割だった。

ソニーと東大,「ヒューマンオーグメンテーション学」を推進

ソニーは3月13日,東京大学大学院情報学環に,新しい学問領域である「ヒューマンオーグメンテーション(人間拡張)学」をソニー寄付講座として2017年4月から3年間実施すると発表した。「ヒューマンオーグメンテーション」は同学環の暦本純一教授(ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長でもある)が提唱するコンセプト。知覚能力・認知能力・身体能力・存在感や身体システム(健康)まで幅広く人間の能力を拡張させるテクノロジーの開拓を目指している。テクノロジーの側では,仮想現実・拡張現実テクノロジー,ロボティクス,人工知能,ヒューマンインターフェースなどが関わってくる。これまでに,こうしたテクノロジーを活用した体外離脱視点を用いたトレーニング支援や,体験を他人と共有する人間接続型テレプレゼンスの研究が行われてきた。さらには,人間とテクノロジー,人工知能が一体化し,時間や空間の制約を超えて能力を強化し合う「Internet of Abilities(能力のインターネット)」の構築を視野に入れている。

 
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