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Vol. 60 (2017) No. 2 p. 143-145

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http://doi.org/10.1241/johokanri.60.143

JSTからのお知らせ
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JSTからのお知らせ オープンサイエンス促進に向けた研究成果の取扱いに関するJSTの基本方針

オープンサイエンス促進に向けた研究成果の取扱いに関するJSTの基本方針

2017年4月1日 国立研究開発法人科学技術振興機構

近年,情報通信技術(ICT)の急速な発展によって,研究成果(論文,生成された研究データ等)の共有や相互利用が容易になったことで,新たな研究の進め方や手法であるオープンサイエンスの概念が世界的に急速な広がりをみせている。

オープンサイエンスは国際的な枠組みにおいても活発に議論され,2016年に開催されたG7茨城・つくば科学技術大臣会合では,オープンサイエンスに関する世界共通の指針を共有する必要性,及びその推進にあたっての基盤強化の重要性を確認し,共同声明として採択した1

我が国においては,内閣府「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会」が「オープンサイエンスとは,公的研究資金を用いた研究成果について,科学界はもとより産業界および社会一般から広く容易なアクセス・利用を可能にし,知の創出に新たな道を開くとともに,効果的に科学技術研究を推進することで,イノベーションの創出につなげることを目指した新しいサイエンスの進め方を意味する」2と定義付け,オープンサイエンスに関する基本姿勢・基本方針をとりまとめた。また,第5期科学技術基本計画3においても,オープンサイエンスが進むことにより,あらゆるユーザーが研究成果を広く利用することが可能となり,新たな協働による知の創出が加速され,新たな価値を生み出していくことが可能となることや,社会に対する研究プロセスの透明化や研究成果の幅広い活用が図られ,こうした協働に市民の参画や国際交流を促す成果も見込まれるといった潮流を踏まえて,公的資金による研究成果については,その利活用を可能な限り拡大することを我が国のオープンサイエンス推進の基本姿勢とする,としている。

JSTは,これまでに「オープンアクセスに関するJSTの方針」を策定し,JSTが研究資金を配分し実施する研究プロジェクト等(以下,「研究プロジェクト」と呼ぶ。)において得られた学術論文等の研究成果についてオープンアクセス4化を推進してきたが,昨今の国内外における状況に鑑み,オープンサイエンス促進に向けた研究環境を整備することを目的として,新たに研究成果の取扱いに関する基本方針をここに定める。

研究プロジェクトの成果に基づく研究成果論文(以下,「研究成果論文」と呼ぶ。)はオープンアクセス化することを原則とする。また,研究プロジェクトによって生産された研究データ(以下,「研究データ」と呼ぶ。)は適切に保存・管理することとし,研究データのうち研究成果論文のエビデンスとなる研究データ(以下,「エビデンスデータ」と呼ぶ。)は公開することを推奨する。なお,本方針の適用において特に研究データの中には,その公開にあたり特別の配慮を要するものがあることを認識し,公開の対象外とするなど適切な対応を求める。

またJSTは,本方針を推進するにあたり,研究資金の配分を受ける機関や関係者と連携を図っていくと共に,オープンサイエンス促進に必要となる科学技術情報の流通促進のための基盤整備や,研究者や市民のコミュニケーションの場作りにも取組んでいく。

以下に,研究成果の取扱いについて具体的な方針を述べる。

Ⅰ. 研究成果論文のオープンアクセス化について

全ての研究成果論文を,原則としてオープンアクセスの対象とする。

オープンアクセス化にあたっては,著者最終稿等を国の施策として進められている機関リポジトリ等を活用し公開することを推奨する。その際,研究成果論文を発表した学術誌等が求める各種許諾条件や著者最終稿の公開に係る猶予期間5に配慮する。同時に,研究プロジェクトに参画する研究者等(以下,「研究者等」と呼ぶ。)がオープンアクセスを前提とした学術誌等に研究成果論文を発表することにより,本方針に対応することも可能とする。ただし,研究成果論文の投稿先の選択は研究者自身の判断によるものであり,オープンアクセスを前提とした学術誌等への投稿を推奨するものではない。

また,オープンアクセス化に際して,研究成果論文の著作権や利用ルールについて,発表した学術誌等の方針及び研究者等の意向等を踏まえた上で,再利用等が可能な場合はその旨を明示することが望ましい。

なお,研究成果論文のオープンアクセス化に係る詳細については,別途規定する。

Ⅱ. 研究データの取扱いについて

  • (データマネジメントプラン6の作成)

研究プロジェクトの研究活動計画に責任を負う研究者(以下,「研究代表者等」と呼ぶ。)は,研究データの取扱いを定めたデータマネジメントプランを作成し,遅くとも研究を開始するまでにJSTに提出するものとする。

  • (研究データの保存・管理と公開)

研究代表者等は,データマネジメントプランに基づき研究データを適切に保存・管理するものとする。

研究データのうち,エビデンスデータは公開することを推奨する。同時に,それ以外の研究データについても公開することを期待する。公開にあたっては,研究者等が不利益を被ることがないよう,個別の事情に応じ公開までの猶予期間を設けるなど配慮が必要となる場合がある。また,研究データの利活用を円滑化するため,二次利用のルールを明示することが望ましい。

ただし,機密保持・企業秘密・国益及び国家安全保障に関わるデータ,研究成果の商用化・産業化を目的として収集されたデータ,民間企業が保有するデータ,共同研究契約等で研究成果の公開に制限があるデータ,個人のプライバシーの観点から保護が必要なデータ,財産的価値の観点から保護が必要なデータ等,特別な配慮が必要なデータは公開の対象外とする。

なお,対象となる研究プロジェクト,データマネジメントプラン及び研究データの取扱いに係る詳細については別途規定する。

以上

1  G7茨城・つくば科学技術大臣会合「つくばコミュニケ」(2016年5月15日~17日)

2  内閣府 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会「我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方について」(2015年3月30日)

3  2016年1月22日閣議決定

4  論文等の学術情報をインターネットから無料で入手でき,誰でも制約なくアクセスできるようにすること。

5  学術誌等が刊行されてから,論文の全文がリポジトリで利用可能になるまでの一定の期間,エンバーゴ。

6  研究プロジェクトにおける研究データの取扱いを定めるものであり,具体的には,研究成果として生じた研究データの保存・管理,公開・非公開,公開範囲等に関する方針や計画について記載したものを指す。

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