2017 年 60 巻 4 号 p. 293
『日本十進分類法 新訂10版』(以下,新訂10版)は,『同 新訂9版』から19年を経て,2014年12月に刊行された。ここで紹介する図書『NDCの手引き:「日本十進分類法」新訂10版入門』は,新訂10版を理解し主題ツールとして使用するための「手引き」である。まずは目次を見てみよう。
1章 NDCの概要/2章 NDCの分類表/3章 細目表の構成要素/4章 補助表/5章 相関索引/6章 NDC新訂10版の新たな特徴
1章 分類作業/2章 分類規程/3章 各類における分類記号の付与/4章 番号構築(ナンバービルディング)/5章 相関索引の使用法
凡例/1章 補助表/2章 細目表
このように3部構成からなり,第Ⅰ部には25ページ,第Ⅱ部には32ページ,第Ⅲ部には117ページを割いている。
その中から図書の半分以上を占めている第Ⅲ部に注目してみよう(カッコ内はページ数)。構成では,「1章 補助表」は,「1.1 一般補助表」(約22ページ)と「1.2 固有補助表」(2ページ)に分かれている。そして「2章 細目表」は0類から9類まで類ごとに節を設けている。
第Ⅲ部冒頭の「凡例」には「分類作業上の実践的な指針を示すことを目的とする」との記述がある。また,解説には事例として該当する文献がほぼ付されていることが特徴となっている。
「1章 補助表」では本表の凡例を取り上げつつ,補足的に解説を加えている。その後に,一般補助表については各記号それぞれに実例が付されている。固有補助表については,2章の中で適用されるそれぞれの類で取り上げられ,同じように実例が付されている。
「2章 細目表」では各類に分かれて,分類項目を2つのやり方で解説をしている。(1)本表から注記のある項目を取り上げて説明している分類項目と,(2)分類先を迷うような項目を取り上げ比較し,説明をしている分類項目である。
(1)では細目表で「*~は,ここに収める」という範囲注記があるような項目を主に取り上げ,その分類項目で取り扱う主題の範囲を説明している。
(2)では実際の「見出し」を抜き出してみよう。注参照を比較しているように見受けられるが,それ以外にも分類先に迷いそうな項目も追加して取り上げ,説明をしている。さらに巻末の「分類記号索引」ではここで取り上げた項目を網羅し,探しやすくしている。
007 情報学.情報科学 vs. 547 通信工学.電気通信 vs. 548 情報工学 vs. 694 電気通信事業
実際に分類作業をしていると,手にした1冊の主題がNDCのその項目の主題であると判断すべきかどうか迷うことがある。この図書はその迷いを解消してくれそうだ。また一般補助表についての解説は新訂10版の説明を大きく補うものであり,実務にかなり役立つものとなるだろう。新訂10版本体だけではとらえることが難しい部分について,この図書はつまびらかにし,分類実務ではかなり役立つに違いない。文字通り「手引き」として十分にその役割を果たすだろう。
(日本女子大学 西生田図書館 鈴木学)