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日本内科学会英文論文誌「Internal Medicine」の取り組み
小笠原 功明
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60 巻 (2017) 5 号 p. 316-324

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著者抄録

日本内科学会は1903年創立当初から英文誌を刊行し,今日までに1万本を超える論文を発行してきた。現在は,月2回・年24回発行し,J-STAGEによりオープンアクセス誌として公開している。2005年の論文投稿・査読オンラインシステム導入および電子ジャーナル化以降,海外を中心に,予想を上回るほど投稿論文数が大幅に増加した一方で,さまざまな問題点・課題が表面化することとなった。本稿では,表面化した問題点・課題,その克服への取り組み,さらには今後の展望について紹介する。

1. 日本内科学会(学術団体)

1.1 日本内科学会の概要

一般社団法人日本内科学会注1)は1903年に設立され,今年で114年を迎える日本最大の学術団体である。2017年2月末日時点で,会員数は11万113名(男性:8万6,405名,女性:2万3,708名)に上る。近年では,全医師数に占める女性医師の割合増加に伴い1),日本内科学会においても,女性会員数およびその割合が増加する傾向にある。会員資格は,日本の医師免許を有する者のみを対象としているため,会員は医師のみで構成されており,学生や一般ならびに賛助企業は含まれない。会員は全国10支部(北海道支部,東北支部,関東支部,信越支部,東海支部,北陸支部,近畿支部,中国支部,四国支部,九州支部)のいずれかに所属し活動を行う。

学会設立当初より,下記が主な活動である。

  • (1)学会誌の発行注2)
  • ・和文誌「日本内科学会雑誌」
  • ・英文誌「Internal Medicine」
  • (2)学術講演会注3)(春・秋)
  • (3)生涯教育講演会注4)

1.2 専門分野を横断する“Platform”の提供

一般的に,医師のキャリアは診療科(内科・外科・小児科等)を決めるところから始まり,その診療科を細分化する形で,それぞれの専門性を高めていく。

内科は「消化器(肝胆膵臓(すいぞう))」「消化器(消化管)」「循環器」「内分泌」「代謝」「腎臓」「呼吸器」「血液内科」「神経内科」「アレルギー」「膠原(こうげん)病」「感染症」ならびに「一般内科」と13分野に分かれている。

日本内科学会は,医療の専門分化が進んだ今日にあって,医療全体の基礎となり,医師として共通にもつべき「内科学」の知識の提供,最先端の研究成果発表の場の提供を行っている。

会員にとって,「内科学」を基軸に,さまざまな専門分野の知見や最先端の研究成果に触れることができるのは,専門学会にはない日本内科学会の魅力であり,よさではないだろうか。会員相互が異なる専門分野を有する中で「内科学」を“Keyword”に,共に情報共有・情報交換し,時に議論・研鑽(けんさん)し合える“Platform”(プラットフォーム)があることは,全身を診ることができる内科医育成が社会的要請として求められる今日にあって2),重要な役割・使命を果たしていると思われる。

2. 学会誌の種類・構成

2.1 和文誌「日本内科学会雑誌」の発行

前述のとおり,日本内科学会では,設立当初1903年より,和・英の2つの学会誌(現在は,「日本内科学会雑誌」(和文誌)と「Internal Medicine」(英文誌))を発行している。

和文誌は,紙媒体で毎月10日を基本に,臨時増刊号を含めて,年13回発行し,発行部数は毎号約11万部である。発行後1年を経過したバックナンバーは,J-STAGEで一般公開している。

次に,掲載内容について,1990年までは他の学会誌同様,原著論文,臨床論文等の投稿論文を中心に掲載していたが,生涯教育コンテンツを充実させ会員ニーズに応える目的等により,1990(平成2)年1月より誌面を一新し,解説記事(Editorial)と各分野の専門家による総説論文(トピックス)を中心とする内容に改めた。

下記のとおり,毎号,内科各分野にフォーカスを当て特集を組み,疾患・病態の理解が系統的に深まる構成をとっている。

  • 1号特集 :消化器
  • 2号特集 :循環器
  • 3号特集 :内科学の展望 生涯教育Aセッション・Bセッション
  • 4号特集 :内分泌・代謝
  • 5号特集 :腎臓
  • 6号特集 :呼吸器
  • 7号特集 :血液
  • 8号特集 :神経
  • 9号特集 :年次講演会
  • 10号特集 :アレルギー・膠原病
  • 11号特集 :感染症
  • 12号特集 :領域横断
  • 臨時増刊号 :年次講演会プログラム

2.2 英文誌「Internal Medicine」の発行

「Internal Medicine」は現在,月2回(1日・15日)・年24回定期発行し,2017年2月末日時点で,1万172本にも及ぶ論文を掲載してきた。2005年の電子ジャーナル化への切り替え以降は,世界的にインターネットが普及したこと,従来の紙媒体での郵送による論文受け付けではなく24時間オンラインで投稿を受け付けたこと,投稿料が無料であったことなどの要因や,学術誌の認知度向上も相まって,約40か国・地域から論文が投稿され,世界約70か国・地域で閲覧されるジャーナルへと成長を遂げた。

受け付け論文種別は,総説論文(Review Article),原著論文(Original Article),症例報告(Case Report),画像による症例報告(Pictures in Clinical Medicine),エディターへの手紙(Letters to the Editor)ならびに論説(Editorial)としている。

掲載に当たっては,投稿論文と同一分野の専門家(複数名)による評価・審査を経て,掲載・不掲載が決定され,J-STAGEおよびPubMed Central注5)において,オープンアクセスで公開されている。

掲載論文の特徴として,医学系学協会以外ではあまりなじみのない症例報告(Case Report)注6)が受け付け投稿論文種別として存在し,電子ジャーナルへの切り替えに関係なく,15年以上,全投稿論文のほぼ半数を占めている(1)。

次章以降,「Internal Medicine」の論文数増加の現状,問題点やその克服,さらに今後の展望等について詳述したい。

図1 「Internal Medicine」年間投稿論文数推移:症例報告割合

3. 「Internal Medicine」のこれまでの経緯

3.1 投稿数の推移

従来,「Internal Medicine」は,紙媒体の郵送のみで,年間を通して論文投稿を受け付けていた。

しかしながら,「言語の壁」や,紙媒体での郵送の煩雑さもあり,当時は国内からの投稿を中心に,年間投稿総数“300~500本”程度で推移していた。

’90年代後半以降のインターネットの普及とともに3),情報技術(IT)を活用する方法を検討することになった。具体的には,従来の郵送での論文投稿からインターネットを介した「論文投稿・査読オンライン化」システムの導入,論文の「冊子体」での発行から「電子媒体」(PDF)での発行について検討を進めた。

「論文投稿・査読オンライン化」については,投稿者,査読者,編集委員ならびに事務局それぞれの利便性向上が見込めるものとして承認された。

一方で,「電子媒体」(PDF)での発行については,一般公開に伴う冊子購読者数減少を懸念する声も一部で聞かれたが,慎重に検討を重ね,最終的には抄録(abstract)および論文全文(full text)を広く世界に配信し認知度を高め,世界中で読まれる国際誌を目指す方が望ましいとの結論に達した。

2005年から「論文投稿・査読オンラインシステム」(ScholarOne)を導入し,併せて,科学技術振興機構が運営するJ-STAGEに論文を電子ジャーナルとして掲載し,広く一般に論文を公開(オープンアクセス:OA)注7)する方向へと舵(かじ)を切り,会員向けの冊子体の発行のみからOA電子ジャーナルへとジャーナルモデルを大きく転換した。

2005年以降,投稿数に大きな変化が現れる。まず,海外からの論文投稿が急激に増えたことである。それまで「投稿」といえば,国内からの投稿が基本であったが,(1)24時間いつでもどこからでもオンラインで投稿を受け付けたこと,(2)投稿規程,論文投稿・査読オンラインシステム(ScholarOne)が英語表記であること,(3)投稿料が会員・非会員問わず「無料」であったこともあり,海外からの投稿割合は,2010年41.58%を皮切りに,2011年50.18%,2012年48.40%と全体の投稿数の約半分が海外からの論文という状況になった(2)。

また,年間投稿論文総数は,従来,300~500本程度で推移していたものが,2008年にはその2~3倍となる1,000本以上となり,2012年には,さらにその倍となる2,000本以上(国内:1,143本,海外:1,072本)の投稿が寄せられ,体制が追い付かない状況となった。

これは,運営サイド(事務局)の視点でいえば,(1)投稿論文の受け付け段階での不備が多い(title pageがない,abstractの文字数が多い,連絡先がない等),(2)論文ステータスの問い合わせ・確認への対応が増えた,(3)研究活動における不正行為(剽窃(ひょうせつ),盗用,二重投稿等)の増加,という状況を招いた4)

他方,査読サイド(編集委員)の視点でいえば,急増する年間投稿論文数に対応しなければならず,投稿数の多い分野を中心に,段階的に編集委員を増員・増強した。その結果,最終的には編集委員会(Editorial Board)は19名から42名にまで増加し,現在に至っている。

図2 「Internal Medicine」年間投稿論文数推移:海外論文割合

3.2 採択率の推移

「Internal Medicine」の採択率は,2009~2015年はおおむね25~35%程度で推移していた。国内から投稿される論文の採択率が50%程度であるのに対して,海外からの論文の採択率は10~20%程度であるため,国内外を総合すると25~35%程度に収まる傾向にあった。その後,2016年の非会員を対象とした論文投稿時課金の導入(後述)により,海外からの論文投稿数が大幅に減少したため,採択論文数は年間660本で,採択率は40%を超える結果となった。

3.3 査読システム・査読体制

前述のとおり,本会の会員は基本診療科を「内科」とするものの,個々に異なる分野を専攻する会員で構成されており,総合医学雑誌・英文学会誌「Internal Medicine」についても,特定の専門分野に偏ることなく,各分野から3・4名を編集委員に任命し,総合医学雑誌のEditorial Boardを構成している。

学会事務局が受理した投稿論文は,まず「投稿規程」に合致しているか否か,不備の有無を確認し,投稿内容が「投稿規程」に合致していない場合や内容に不備がある場合には,受理せずそのまま著者に返却する。

事務局受理後は,編集主任が投稿された論文の内容に基づいて編集委員1名を選定し,指名を受けた編集委員は,査読者を通常2名選定し査読を依頼する。編集委員は,査読者から提出された査読コメントを踏まえ,適宜,著者に論文の修正を求め,最終的に編集主任および編集副主任に論文掲載に関する提案を行う。

なお,採否に関しては,編集主任および編集副主任が,編集委員からの提案を踏まえ決定する。投稿した日から採否が決するまで,論文内容や種別にもよるが,おおむね1か月半程度の日数を必要としている。

3.4 近年における投稿者の行動変化と課題

前述のとおり,2005年のオンライン実施以後から,誰でも無料で投稿できる手軽さのためか,海外を中心に投稿数増加に歯止めがかからない状況が続いた。同時に,明らかに他の学術誌に投稿したときの書式・フォーマットのまま,本会の投稿規程を一切考慮しない状態での投稿や,海外からの投稿を中心に,新奇性(novelty)や科学的価値(scientific importance)を見いだすことが困難な論文の投稿,不正行為が容易に疑われる論文の投稿が散見されるようになった。

具体的には,医学教科書ではごく当たり前とされる周知の事実(新奇性や希少性のない情報のみ)の論文や,教科書に掲載されている画像をそのままスキャンしたのではないかと疑うような画像論文(論文種別:Pictures in Clinical Medicine)が担当編集委員や査読者から指摘されるようになった4)

インターネット上で流通する情報量が飛躍的に増加し5),世界的な潮流ともなった学術誌のオープンアクセス化の流れとも相まって,先行研究の文献,関連類似文献の入手が容易となったことが背景として挙げられる。

インターネットの普及やPC関連機器の進歩は,文献入手や成果の発信で有用な反面,情報を自由に利活用できる(簡単なPC操作でコピー&ペーストが可能)。このため,他人の図表や文章をそのまま複写利用する「盗用」行為や,過去に他誌に発表した自分の論文と実質的に重複する論文の「二重投稿」6)7)が後を絶たない。しかしながら,論文不正に対しての社会の目は厳しく,これまで以上に,研究者倫理が問われる時代になってきている。

4. 「Internal Medicine」の取り組み

4.1 投稿論文数急増への対応・投稿数抑制策

3章4節で述べたとおり,海外から投稿された論文を中心に,論文の質が低いとの指摘を編集委員から多く受けるようになった。そこで,編集委員段階で否決(reject)された論文の割合を事務局で調査した。

3のとおり,国内から投稿された論文については,7本に1本程度の割合で,編集委員段階で否決されているのに対し,海外投稿論文については,編集委員の段階でおおむね2~3本に1本の割合で,否決されていることが判明し,データ上で,質の低い論文が海外から投稿されている現実が浮き彫りになった。

そこで海外を念頭に,否決率(reject率)の高い論文の投稿抑制を図る観点で,課金制度の導入可否をEditorial Boardで検討した結果,以下を導入することとなった。

  • (1)課金の対象となる論文は「非会員からの投稿論文」(投稿は国内外問わず,非会員であれば課金を適用する)
  • (2)課金対象者は投稿論文の筆頭著者(筆頭著者が非会員であれば,筆頭著者へ課金請求する)
  • (3)投稿料は論文種別を問わず1論文当たり300ドル請求

効果としては,課金制度導入前では,論文投稿・査読オンラインシステム(ScholarOne)に,課金導入告知を掲載したところ,海外からの投稿数が減少するなど,課金導入告知だけでも一定の抑止効果があった。

2016年の課金制度導入後では,フリーライダー的な「取りあえず投稿」が減少し,海外からの投稿論文数が大幅に減少した(2)。また,海外からの投稿論文の受理率(accept率)が総じて上昇する結果となった。非会員を対象とした投稿時課金により,論文投稿抑止および質の低い論文投稿(「取りあえず投稿」)抑止に一定の成果が上げられる結果となった。

図3 年間投稿論文総数に占める編集委員段階での否決論文割合

4.2 審査体制の強化・査読インセンティブの検討

科学技術の進展があったにせよ,わずか5~6年の間に,年間論文投稿総数が倍々に増加したことは思わぬひずみを生むこととなった。

まずは,編集委員が受け持つ担当論文数が2倍,3倍に増加したことである。編集委員は全員「Internal Medicine」以外に本業があり,編集業務はあくまで個々の自発的な取り組みと献身的な努力により成り立ってきた。そこに,急激な投稿増加があり,負担軽減の観点から,投稿数の多い分野を中心に編集委員を増員することとなった。

次に,年間論文投稿総数が倍々に増加したことで,1論文当たり2名の査読者確保が難しくなったことである。特定分野の専門誌ならいざ知らず,総合医学雑誌と銘打つため,幅広い内科学の全分野の論文が投稿される。その投稿を数名の専門分野をもつ編集委員が受け持つため,時に“範疇(はんちゅう)外”あるいは“守備範囲外”の論文を担当することになる。その結果,査読者の選定に苦労し,同じ査読者に依頼が続くこともあった。

さらには,査読候補者に査読依頼を断られるという「負のスパイラル」現象も散見されるようになった。

そこで,少しでも査読を引き受けてもらえるよう,英文誌ではあるが,(1)査読コメントについては「日本語も可」に変更し併せて,他誌よりも優先的に引き受けてもらえるように,(2)表彰制度「Outstanding Reviewers」(より多くの論文を迅速に査読した査読者を対象に,査読回数と査読日数に応じた独自計算式に基づく表彰制度)を導入した。

査読者選定に必要以上に時間がかかり,査読引き受けが思うように進まない場合,投稿された論文が実際に査読プロセスに入るまでには,想定以上の時間を要する。そこで,査読者の視点に立った利便性向上や何かしらインセンティブ付与が必要なのではないかと考えた。

実際に,査読コメントを「日本語可」へ変更してから,査読引受率は向上した。また表彰制度の導入後,すべての査読者に当てはまるとはいえないものの,引き受け回数が多い査読者においては,査読日数を意識した迅速な対応が確認されるようになっている。

4.3 Impact Factor(IF)値上昇を目的とした施策

課金制度が投稿数へのブレーキに当たるなら,Impact Factor(IF)値は,学会誌やジャーナル誌に投稿して掲載されたいというアクセル部分に当たる(4)。

一般的に,著者は,よりIF値が高く,より早く研究成果を公表できる学会誌やジャーナル誌を志向する。そこで,投稿数抑制策の検討と同時に,IF値上昇施策についても検討を行い,以下の項目を実施・導入した(時系列順)。

専門分野の研究史を取りまとめた総説論文は,論文を書く際に参考とすることが多く引用されやすいとされるが,「Internal Medicine」についても同様の傾向がみられるのか調査を行った。

結果として,本誌においても,総説論文が他の論文種別に比べて被引用回数で優れていることが判明したため,従来の一般投稿型・総説論文に加え,編集委員からの執筆候補者推薦に基づく招待総説論文制度を創設した。

次に,優れた論文の投稿増加や収載を目的に,論文種別を問わず,被引用回数が多い論文および著者を表彰するBest Citation Awardを創設した。

併せて学会誌PR施策として,日本内科学会評議員を対象に,月2回メールマガジンを発行し,論文発行状況(Pick Up論文紹介,編集委員会からのお知らせ等)を随時伝え,論文投稿候補先としてのプレゼンスを高める取り組みも行っている(5)。

また,先に導入した招待総説論文については,導入検討(Plan),制度導入(Do),効果測定(Check)ならびに制度改善(Act)を行う観点から,制度実施後の課題点を洗い出し,実際の論文掲載効果を中心に調査分析を行った(6)。

調査結果としては,推薦された招待総説論文執筆候補者の引受率の低さ(15~25%程度),執筆者の多くが編集委員の教室スタッフであること,被引用回数の低迷(掲載年およびその翌年の被引用回数が想定よりも少ない)が課題として挙げられた。

そのため,本誌と競合すると思われる国際誌の高被引用論文を調査した(総合医学雑誌,英文誌,IF値が近く,類似読者を有するものを対象として)。その際,引用されやすい総説論文のテーマ等のトレンド分析を行い,招待総説論文制度の改善(Act)に活かすこととした。

分析結果としては,被引用回数の多い総説論文は,循環器系をテーマにした論文が多い他,臓器横断型・複数疾患領域にまたがる論文も多く見受けられた。また,一般大衆を対象にしたスクリーニング系論文や健康を意識したテーマの論文も引用されやすい傾向が見受けられた。

そのため,従来の招待総説論文の運用規程を見直すとともに,多様なテーマの総説論文を受け付け・掲載する目的で,公募総説論文制度を創設している。「日本内科学会雑誌」との連動企画(11万部発行の日本語雑誌への告知記載)により,英文誌の宣伝だけでなく,ハードルが高く思われがちな英文誌に興味をもってもらうきっかけとなっている。

図4 「Internal Medicine」Impact Factor推移
図5 「Internal Medicine」メールマガジン
図6 招待総説論文制度改善プロセスにおけるPDCAサイクル

5. おわりに

「Internal Medicine」は,わずか10年ほど前までは,全体の投稿論文数が年に300~500本程度の学術誌であったが,論文投稿・査読オンラインシステムを導入し,J-STAGEに収載されたことで,その後は飛躍的に投稿数が伸びた。

その間,編集委員の増員などの対策もあったが,数百本の学術誌から年間2,300本もの論文を受け付ける学術誌に変貌するには,対応期間や準備時間があまりにも不十分で,もろもろの対応が後手に回ってしまうこともあったと思われる。

現在も,よりよい学会誌を目指して,新たな取り組み(症例報告改革,論文早期公開,査読ガイドライン・査読基準の制定,英文誌Webサイトリニューアル等)に着手しているが,今後も時代に合わせた改善を行っていく必要があるだろう。

今回紹介した本会の取り組みは,個々の学会,個々の学術誌が有する独自の特徴や傾向とは異なる部分が多分にあるかもしれない。しかしながら,わずかながらでも,他の学協会,他のジャーナル運営の参考となれば幸甚である。

Made in Japanの論文が,日本の学会誌に投稿・掲載され,世界発信されることを願ってやまない。

執筆者略歴

  • 小笠原 功明(おがさわら なるあき) n-ogasawara@naika.or.jp

愛知県生まれ。明治大学農学部卒。米国カンザス州立大学大学院 農学研究科,同大学院 研究助手(RA),全国地方銀行協会 副調査役を経て,日本内科学会 経営企画部 兼 編集部リーダー。編集部では,「日本内科学会雑誌」(和文誌),「Internal Medicine」(英文誌)ならびに医学書(医書)を担当。

本文の注
注1)  日本内科学会:http://www.naika.or.jp/

注2)  「日本内科学会雑誌」は1903~1913年には「日本内科学会会誌」の名で,「Internal Medicine」は1903~1962年には「日本内科学会会誌 欧文抄録集」(講演会抄録集・原著論文臨床論文抄録集),1962~1991年には「Japanese Journal of Medicine」の名で刊行していた。

・「日本内科学会雑誌」:https://www.jstage.jst.go.jp/browse/naika/-char/ja

・「Internal Medicine」:https://www.jstage.jst.go.jp/browse/internalmedicine

注3)  1973(昭和48)年より,学会全体で行う年次学術講演会(春季)に加え,年次学術講演会の開催されない都市で,「内科学の展望」(秋季)が毎年1回かつ1日規模で開催されている。その内容は臨床と研究の両面での講演である。

注4)  1989(平成元)年より,会員の生涯教育を目的とした生涯教育講演が開始された。これは,内科領域をAないしBの2つのグループに分け,それぞれ1日規模で開催される講演会である。

注5)  PubMed Centralは,米国の国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)内,米国国立医学図書館(National Library of Medicine: NLM)の国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information: NCBI)が管理・運営する生物医学・生命科学のオンライン論文アーカイブである。

注6)  Case ReportあるいはCase Studyと呼ばれ,医師が臨床診療で経験し得られた知識(周知のものとは異なる症状・経過・反応,あまり遭遇しない疾患等,従来の知見では想像できなかった珍しい事例等)を報告する臨床論文である。

注7)  オープンアクセスとは,論文等の学術情報をインターネットから無料で入手でき,誰でも制約なく論文へアクセスできることを意味する。

参考文献
 
© 2017 Japan Science and Technology Agency
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