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編集後記
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2017 年 60 巻 5 号 p. 378

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編集後記

2016年の秋ごろから,Google翻訳(英文和訳)の質が向上したことを実感していました。何より訳文が流暢(りゅうちょう)になりました。一方で,訳されていないフレーズがあったり,形容詞や副詞を除いてみると訳文ががらっと変わってしまったりすることにも気づきました。今号の「機械翻訳の新しいパラダイム」を読むと,その理由がわかります。

翻訳の難しさの一因は,1対1対応で訳語が決まるわけではない点にあります。文法もさることながら訳し分けの難しさ,意味を取り違える危険など,単語レベルの問題点にも注意が必要です。

編集に携わっていていつも思うのは,これで伝えたいことが間違いなく伝わるかということです。先月号の編集後記に略語(頭文字)「STEM」のことを書きました。略語が何を指しているのかわからないと,文の意味が伝わりません。まどろっこしいようでも弊誌は初出で,一般に通用する場合を除いて全表記と和訳を添えています。

さらに問題になるのが,「一般に通用する」の解釈です。たとえばWHOに,「World Health Organization:世界保健機関」と併記する必要があるのか。自分たちの常識は,弊誌の主たる読者である科学者・技術者・関連実務者にとっての常識と一致しているのか。弊誌はWebで無料公開していますから,広く一般の方にも読んでいただいています。いきおい注記が多くなるのはそのためです。

共同通信社『記者ハンドブック』の中に略語の一つとしてOAが掲載されています。「最初から全表記を省略して略語単独で使用できる」ことになっています。ところがなんと,このOAに対応する全表記は「Office Automation:オフィスオートメーション」。弊誌によく登場する「Open Access:オープンアクセス」としてのOAは,一般に通用する略語とはいえないようです。(KM)

次号予定

  • ●   IoTプラットフォーマー間データエンタープライズ構築:「オープンなデータ取引市場」実現の取り組み
  • ●   ブロックチェーンエコノミーのコンセンサスとガバナンス
  • ●   3Dプリンティングにまつわる情報学的研究課題:データ標準化,次世代モデリング環境,AIとの連結
  • ●   日本の学術研究機関における研究成果の国際情報発信
  • ●   博士人材の研究公正力(1):グローバル化時代の研究倫理教育
  • ●   連載:「情報」とはなにか 第4回 情報×物理社会 情報とモノが溶け合う融合社会

編集委員会

  • <委員長>小賀坂康志(科学技術振興機構)
  • <編集委員> 江草由佳(国立教育政策研究所)・岡安渉子(富士通㈱)・小河邦雄(大正製薬㈱)・清田陽司(㈱Lifull)・山下正隆(旭化成㈱)
  • 住本研一・青山幸太・木村美実子・佐藤恵子・嶋田一義・坪井彩子・中村拓・火口正芳・福島俊一・森亮樹・山崎美和・余頃祐介(以上 科学技術振興機構)

編集事務局

  • 木村美実子(事務局長)・石井節子・酒井加代子・
  • 大井喜久子・中山広之(以上 科学技術振興機構)

版下作成・印刷

  • 昭和情報プロセス株式会社

発行

  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
  • 「情報管理」編集事務局
  • Tel. 03(5214)8406 Fax. 03(5214)8460
  • E-mail: joho-kan@jst.go.jp
  • http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/

 
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