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情報界のトピックス
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60 巻 (2017) 9 号 p. 684-686

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テクノロジー企業による教育イニシアチブ

米Googleは10月12日,すべての人に機会を提供するためのイニシアチブを発表した。その一つである「Grow with Google」イニシアチブでは,米国の学生や就職希望者,スタートアップ企業等を対象として,雇用や事業成長に必要とするスキルを獲得できる支援プログラムを無料で提供する。また世界中で重要分野に取り組む非営利団体に,5年にわたって合計10億ドルの助成金を提供する。さらにGoogleの従業員が合計100万時間のボランティアを行い,前線で活動する非営利団体を支援するとしている。

一方,Appleの共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏は10月13日,テクノロジー職に必要なスキルをオンラインで学べる教育プラットフォーム「Woz U」を立ち上げたと発表した。人々が報酬の高いテクノロジー職として即戦力になれるようにすると同時に,企業には優秀な人材と訓練ソリューションを提供することを目指している。現時点では,コンピューターサポート専門職とソフトウェア開発者のプログラムが用意されており,データサイエンス,モバイルアプリケーション,サイバーセキュリティーのプログラムも追加予定。テクノロジー職の適性テストができるモバイルアプリも用意している。

学術出版社,ResearchGateに論文削除を要請

学術出版社5社は10月5日,研究者向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「ResearchGate」による著作権侵害問題に対応するための連合「Coalition for Responsible Sharing」(責任ある共有のための連合)を設立した。参加したのは,エルゼビア(Elsevier),米国化学会(ACS),ブリル(Brill),ウィリー(Wiley),ウォルターズ・クルワー(Wolters Kluwer)。この日発表した声明では,ResearchGateのプラットフォーム上では,出版社などが著作権を保有する約700万件の論文が自由に閲覧できる状態になっており,これは同サービスのコンテンツ全体の40%を占めるとしている。これに先立つ9月には,国際STM出版社協会とHagueがResearchGateに対して,ユーザーによる論文のアップデート時に公開/非公開を自動判定し,非公開とすべき論文は共著者や内輪の研究グループ内に限定して公開するシステムを導入するなどの解決法を提案したが,ResearchGate側は受け入れなかった。10月5日の声明発表後,ResearchGateはサイト上から対象となる論文を多数削除している。しかしすべての対象論文が削除されているわけではないことから,Coalition for Responsible Sharingは10月18日,著作権を侵害している論文の削除通知の送付を開始したと発表した。また,この連合に参加しているエルゼビアと米国化学会は10月6日,著作権を有する論文が今後ResearchGateに掲載されないようにすることを目的として,ResearchGateの本部があるドイツ・ベルリンの裁判所に訴訟を起こしている。

一方で,ResearchGateは10月9日,シュプリンガー・ネイチャー(Springer Nature)との共同声明を発表し,科学ジャーナルのオンラインでの共有と,知的所有権の保護を両立させるための解決法を見いだすべく,両社が真剣な協議を続けていることを明らかにした。両社は問題の解決について慎重ながらも楽観的だとしており,他の出版社にも協議への参加を呼びかけている。

ResearchGateは,2008年に設立された科学者・研究者向けSNSで,論文の共有の他,研究者同士のコミュニケーション,共同研究者の募集や,実験データやノウハウ(失敗したものも含めて)の共有などが行える。マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツからも資金提供を受けていることが知られている。

ロシア製アンチウイルスソフトによる米国機密情報漏えい疑惑

ロシアの大手セキュリティー企業カスペルスキーのアンチウイルスソフトウェアを通じて,米国政府の機密情報がロシア政府側に流出したとの疑惑が表面化している。The Wall Street Journal(WSJ)が10月5日に報じたもので,米国家安全保障局(NSA: National Security Agency)の契約職員が,カスペルスキーのソフトウェアをインストールした個人用コンピューターに機密情報を移したことで,ロシア政府とつながるハッカーによるハッキングを受けたとされている。カスペルスキーとロシア政府のつながりは,2016年の米大統領選へのロシア政府介入疑惑の捜査のなかで,以前から指摘されていた。米国土安全保障省(DHS: United States Department of Homeland Security)は9月13日,全連邦政府機関に対して,90日以内に同社製品の使用を中止し,情報システムから削除するよう通告している。

こうした動きに,カスペルスキーは「根拠がない」と反論。10月23日,透明性イニシアチブを開始すると発表した。2018年第1四半期までに,国際的に認知された機関による,独立したソースコードレビューを実施するとともに,内部プロセスの独立レビューを行って,ソリューションとプロセスの完全性を検証するとしている。また2020年までにアジア,ヨーロッパ,米国に透明性センターを設置するとした。さらに10月25日には,内部調査の中間報告を発表し,問題のNSAのケースでは,職員の個人用コンピューターがもともとマルウェアに感染していた可能性を指摘している。

東京大学文書館のデジタル・アーカイブが公開

東京大学文書館は10月,同館が所蔵する資料の検索が可能なデジタル・アーカイブのベータ版を公開した。2017年度内の本公開に向けて,ベータ版への意見・要望を募っている。資料へのアクセスは,キーワードによる検索の他,所蔵資料群全体の概要から階層をたどる方法もある。デジタル画像がある資料については,サイト上で閲覧できる。東京大学文書館は,同大学にとって重要な法人文書や同大学の歴史関連資料の管理・保存・利用のため,2014年に設置された。収集資料には,「特定歴史公文書」(各部局で職務上作成された文書のうち歴史的に重要なもの)と「歴史資料」(同窓会などの団体や個人から収集した資料)の2種類がある。

政府衛星データのオープン&フリー化の検討

経済産業省は10月27日,「政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備に関する検討会」の報告書を発表した。この検討会は2017年5月に立ち上げられ,10月までに7回開催して議論を重ねてきた。背景としては,宇宙由来のデータをビッグデータの一部として活用することが求められており,政府の地球観測衛星データは現在,研究機関向けデータとしてはオープン&フリー化されているものの,産業利用は限定的であることを挙げている。検討の結果,オープン&フリー化および利用環境整備を進めるにあたって,第1階層:JAXA(宇宙航空研究開発機構)等の政府衛星データのオープン&フリー化,第2階層:ユーザーが自由にデータを利用できるプラットフォームの構築,第3階層:政府衛星データの商業利用の解禁という,3階層による方向性を定めた。また具体的な事業スキームとしては,将来の民営化を前提としたうえで,当初は政府予算によって開発・整備を行うとしている。また政府衛星データのオープン&フリー化と,プラットフォームの充実,他のビッグデータとの組み合わせによる全体的な経済効果は,2030年度には最大約3,400億円になると試算している。

機関リポジトリ用メタデータフォーマットの新スキーマ公開

オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)は10月30日,機関リポジトリ用メタデータフォーマット「junii2」を改訂して,新スキーマ「JPCOARスキーマ」を策定したと発表した。オープンサイエンスの動向やオープンアクセス方針採択の広がり,識別子の拡充などの社会的・技術的変化に対応したとしている。JPCOARは日本における機関リポジトリの振興・相互支援を目的として,国公私立大学図書館協力委員会と国立情報学研究所の連携により2016年7月に設立された。

 
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