岡山医学会雑誌
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総説
Renato Dulbecco:ダルベッコ培地
難波 正義
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2011 年 123 巻 1 号 p. 27-31

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抄録
現在,医学分野の多くの研究は培養細胞や培養組織を用いてなされている.それらの研究成果が報告されている論文の“材料と方法”の項で,ダルベッコ培地を使用して細胞を培養したといった記載を読んだ研究者は少なくないであろう.また,実際にダルベッコ培地を使用した研究者もいると思う.今回は,この培地を報告したDulbecco(1975年,がんウイルスの研究によってノーベル賞)の波乱万丈の経歴,彼の人脈(多くの人物がノーベル賞を受賞),彼の研究概略などについて紹介したい.そして,筆者のダルベッコ培地に対する見解とその培地を使用した経験について述べる.筆者の結論は,初代細胞培養にはダルベッコ培地が勧められること,また,培養細胞を用いての毒性検定に際しては,使用する培地によって結果が異なることがあるので注意する必要があることである.
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© 2011 岡山医学会
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