J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

岡山医学会雑誌
Vol. 125 (2013) No. 1 p. 13-18

記事言語:

http://doi.org/10.4044/joma.125.13

総説

 がんワクチンによる免疫治療では,如何にCD8T細胞を感作(プライミング)しその数を増やすか(免疫増強)という点に多大の努力が払われて来た.樹状細胞への抗原デリバリーと抗原プロセシング/提示,Toll様受容体などの刺激,即ち自然免疫系の活性化の併用などはそれに該当する.しかし十分に活性化されたT細胞をもってしても癌の拒絶は容易ではない.それには癌組織という特殊な環境が禍している.T細胞は癌塊内に入り込み莫大な数の癌細胞と遭遇する.癌組織内での繰り返す抗原認識の過程でT細胞は疲弊し,次第に本来あるべき機能を喪失していく.この疲弊(exhaustion)と呼ばれる現象は,T細胞に発現する複数の免疫抑制性分子―免疫チェックポイント分子―と腫瘍に発現するそのリガンドの結合によってもたらされる.代表的なチェックポイント分子の機能を抑制し,エフェクターT細胞が疲弊することなくその機能を長く維持できれば,これからのがん免疫治療に飛躍的な進展がみられるかもしれない.

Copyright © 2013 岡山医学会

記事ツール

この記事を共有