抄録
我々を取り巻く種々の環境の変化は、ケア提供体制の変革や改善を余儀なくさせている。クリティカルパスは現代の医療資源の有効利用の立場から生まれるべくして生まれてきた最新の方法論である。このクリティカルパスはマネージドケアの台頭が著しい米国で誕生し、我が国でも昨今急速な勢いで拡がりをみせつつある。本論考では、まずその誕生の母体ともいえる米国の医療文化や保険制度について考察し、米国での誕生の必然と発展の経緯について言及する。それに続いて、クリティカルパスの理論背景を紹介し、クリティカルパスの概要、開発過程について述べ、導入に際しての要点を整理する。そして我が国の医療現状に照らして、このクリティカルパスが我々に与えてくれる可能性についてを考察し、クリティカルパスがわが国の医療の中に根付く条件などの、これからの課題についても考証する。