Oncoplastic Breast Surgery
Online ISSN : 2432-4647
ISSN-L : 2432-4647
総説
乳頭乳輪温存乳房全切除術
大崎 昭彦
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2018 年 3 巻 3-4 号 p. 40-50

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抄録

乳癌治療において, 乳房再建を前提とした乳頭乳輪温存乳房全切除術 (nipple-sparing mastectomy : NSM) は整容性に優れた術式である。しかし, 有用な乳癌治療としてのNSMの適応は, 腫瘍学的安全性と合併症をから限定的で議論が分かれる。本稿は乳癌治療におけるNSMの有用性を明らかにするために, 乳癌患者における適応, 手術手技, 腫瘍学的安全性について文献的考察を行った。その適応はおおむね腫瘍が小さい (腫瘍径3cm以下) , 腫瘍乳頭間距離が離れている (2cm以上) , 臨床的に乳頭乳輪への浸潤がないなどの条件を満たす症例で, 乳頭壊死を回避できる方法を選択すべきである。本術式の腫瘍学的安全性は大規模な質の高い臨床試験がないため推奨レベルは高くないが, 画像診断や病理診断で正確に評価することで許容できる。近年, BRCA遺伝子変異陽性者や片側乳癌患者に対する予防的乳房切除術の方法として選択される術式であり, その臨床における重要性は年々増加している。

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© 2018 一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
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