Journal of Oral Biosciences
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増殖因子による舌横紋筋発生制御機構
山根 明永田 純史阿久津 覚誠天野 修
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2004 年 46 巻 2 号 p. 107-115

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抄録

インスリン様増殖因子 (IGF), 肝細胞増殖因子 (HGF), トランスフォーミング増殖因子α (TGFα) などいくつかの増殖因子が, 骨格筋形成に非常に重要な役割をはたしていることがすでに報告されている。 舌横紋筋は, 体幹や四肢の骨格筋には観察されない独特な性質をもつことが知られているので, 舌横紋筋形成におけるこれらの増殖因子の役割が体肢とは異なる可能性が考えられる。 そこで, 舌横紋筋細胞の移動, 増殖, 分化の過程における増殖因子の役割について調べた。 IGF-Iは舌筋芽細胞の分化を促進する。 HGFは舌の予定筋細胞の移動と増殖を促進するが, 舌筋芽細胞の分化を抑制する。 TGFαは舌筋芽細胞の分化を促進する。 舌横紋筋形成におけるIGF-IおよびHGFの役割は, ノックアウトマウス, C2, L6などの培養筋芽細胞を用いて明らかになった体肢の骨格筋形成におけるIGFやHGFの役割と大きく異なってはいないように思われる。 これに対して, TGFαの役割は体肢筋におけるこれらの増殖因子の役割とは異なっているように思われる。 この差異が, 舌横紋筋の特異性に起因または関連するのかどうかは現在のところ不明である。

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© 2004 歯科基礎医学会
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