歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
Streptococcus mutansの菌体外グルカンの産生と分解ならびに細胞形態に及ぼすデキストラナーゼの作用
浜田 茂幸水野 純大嶋 隆増田 典男祖父江 鎮雄村山 洋二
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 17 巻 2 号 p. 142-155

詳細
抄録

デキストラナーゼAD 17は市販の標準デキストランを基質とした時, 著明な加水分解作用を示した。一方, S. mutansの産生する菌体外デキストランに対しては, 遊離還元糖の定量, および酵素的水解産物の薄層クロマトグラフィーのパターンから判定する限り, その作用域は大きな限定を受けていた。しかしそれにもかかわらず, AD 17の存在によって各種血清型に属するS. mutansの蔗糖加ブロース中での継代培養による人工プラーク形成はいくつかの例外を除いて, 著明に抑制された。またいったん形成された人工プラークもAD 17の作用によって付着を阻止される菌株が多くみられた。さらに走査型電子顕微鏡観察による菌体表面の形態学的研究の結果でも, AD17を蔗糖加ブロースへ添加することによって粘着性菌体外多糖に基くと考えられる莢膜様物質の形成が認められなかった。これらの所見は, S. mutans菌体の自由表面への付着が, デキストラナーゼに感受性のグルコシド結合に依存していることを示唆し, また動物実験におけるAD 17のウ蝕抑制作用をも説明するものと考えられる。

著者関連情報
© 歯科基礎医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top