歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
仔ネコの歯肉の外縁上皮の超微形態学的研究
第二報: トレーサー法ならびに電顕的細胞化学による観察
中川 勝洋
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1983 年 25 巻 1 号 p. 44-52

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抄録
仔ネコの歯肉の外縁上皮における物質透過性をHRPを用いたトレーサー法によって検索し, 併せてAcPase活性の検出を行った。静注したHRPは, 外縁上皮の細胞間隙に速やかに浸透したが, 顆粒層の中で浸透が阻止され, 顆粒層上部ならびに角質層の細胞間隙には反応は見い出されなかった。またこのHRPの透過性は, MCGやtight結合と関連せず, むしろ多くの細胞突起とdesmosomeによる細胞間隙の減少が重要な意義をもつものと考えられた。
外縁上皮は僅かながら飲小胞によって細胞間隙又は結合織中のHRPを細胞内に取り込んでいたが, 貪食空胞を形成することは稀であった。AcPase活性は, Golgi体に常に見出され, 又少数の多胞体やライゾーム様の顆粒に強い反応が認められた。これらの所見をもとに, 外縁上皮における物質透過性ならびに外来性蛋白の吸収, 消化能について考察した。
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