26 巻 (1984) 4 号 p. 1012-1022
早期縄文時代長野県栃原岩蔭遺跡下層部 (約8, 500-9, 000年前) より出土したノウサギの歯および頭蓋骨の大きさを長野県東部地方産ノウサギのそれと比較検討した。
歯においては頬歯の全般的な大型化が早期縄文時代産で認められたが, 切歯では時代的変化の認められない部位が多かった。時代較差の大きかった頬歯列中央の歯は, 現生個体で変異性の低い歯であった。頭蓋骨においては, 有意な差ではないものの平均値では早期縄文時代産で大であった。
早期縄文時代の年平均気温は現在より2-3℃ 低かったとされており, ノウサギの頬歯や頭蓋骨の大型化はこうした気候条件の差異と関係があるものと考えられた。