27 巻 (1985) 1 号 p. 200-207
prolactin(LTH)は腸管のCa吸収充進を引起すが, その機序はVitaminD(V-D)の活性型への転化を刺激するためと考えられている。しかし, その事実がV-D欠乏動物でも起ることからV-Dに依存せずにCa代謝を調節する器官へ直接作用する可能性も重要視されている、
本研究は, LTHの骨細胞Ca輸送に対する作用を, collagenaseによるsequential digestionを用いラット胎児頭蓋骨から分離した3細胞群について比較検討した。LTHの用量は200μg(8IU)/1ml溶液とした。
細胞群1:主に繊維芽細胞より成る細胞群に対してはCa release及びCa uptake共に有意な影響は認められなかった。
細胞群2:主に骨芽細胞より成る細胞群に対しては, Ca releaseでは添加後5, 15, 30分で約20, 44, 47%の抑制が見られ, Ca uptakeでは添加後5, 30分で約43, 113%の顕著な促進が認められた。細胞群3:主に骨細胞から成る細胞群に対しては細胞群同様顕著な効果が認められ, 即ちCa releaseでは添加後5, 15, 30分で約50, 47, 54%の抑制, Ca uptakeでは添加後5, 30分で約46, 116%の促進が見られた。
骨細胞のCa release及びuptakeに対するLTHの作用は, 4μg~200μg/mlにおいて濃度依存性を示すこと, また37℃ の場合より4℃ で増大することが著者らにより既に報告されている。
それらの成績からLTHは骨細胞系のCa輸送にのみ顕著に作用することが示され, その作用機序はPTHのそれに類似性を示すことが考えられた。
本研究によりLTHがCa調節機構に関与する器官にV-Dに依存することなく直接重要な役割を担っている可能性が強く支持された。