歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ウサギ頭蓋・顔面軟骨より分離した軟骨培養細胞の分化機能および増殖に対するハイドロコーチゾンの促進作用
高野 照子中川 浩一井上 博之作田 守滝川 正春鈴木 不二男
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27 巻 (1985) 2 号 p. 450-457

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抄録

すでに著者らは, 頭蓋・顔面骨格の成長に重要な役割を果たすと考えられている蝶後頭軟骨結合, 鼻中隔および下顎頭より分離した軟骨培養細胞が, 高度に分化機能を保持しつつ, 旺盛に増殖し, 副甲状腺ホルモンに著明に応答することを報告した。一方, 軟骨にもグルココルチコイドの受容体が存在することが知られているが, 軟骨代謝におよぼすグルココルチコイドの生理作用はいまだ明確にされていない。そこで本研究では, 頭蓋・顔面より分離した軟骨培養細胞にグルココルチコイドのひとつであるハイドロコーチゾンを添加して, 分化機能および増殖能について検討した。体重300~400gの雄性New Zealandウサギの鼻中隔より分離した軟骨培養細胞にハイドロコーチゾンを添加すると, 軟骨細胞の分化機能の指標であるグリコサミノグリカン (GAG) への [35S] 硫酸のとり込みが亢進し, プロテオグリカンへの [3H] serineのとり込みも亢進した。ハイドロコーチゾンによるGAG合成の亢進は濃度依存性であり, 生理的濃度の10-7Mで最大に達した。一方, ハイドロコーチゾンはDNA合成も濃度依存性に促進した。次に, 10-7Mのハイドロコーチゾンを鼻中隔, 蝶後頭軟骨結合, 下顎頭の軟骨培養細胞に添加し, 分化機能および増殖能を比較検討すると, GAG合成能は下顎頭軟骨培養細胞が最も強く促進され, ついで蝶後頭軟骨結合培養細胞, 鼻中隔軟骨培養細胞の順で, これに対し, DNA合成能は鼻中隔軟骨培養細胞が最も強く促進され, ついで蝶後頭軟骨結合培養細胞で, 下顎頭軟骨培養細胞ではほとんど促進されなかった。以上の結果, ハイドロコーチゾンは軟骨細胞の分化機能および増殖をともに促進することが明らかとなり, 頭蓋, 顔面骨格の成長に重要な役割を果たすことが示唆された。さらに, 下顎頭軟骨の細胞は分化機能を強く発現する細胞であり, 鼻中隔軟骨の細胞は増殖能を強く発現する細胞であることが示唆された。

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