歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
食虫類モグラ科2種の第1小臼歯の交換
花村 肇瀬戸口 烈司
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1985 年 27 巻 3 号 p. 828-833

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抄録
日本にのみ生息する食虫類モグラ科のヒメヒミズ (Dormecodon pitirostris) とヒミズ (Urotrichus talpoides) の2種について, 第1小臼歯の交換に関する新しい事実が観察されたので比較検討した。
ヒメヒミズの上・下顎第1, 第3, 第4乳臼歯は, それぞれの代生歯と交換するが, 上・下顎第2乳臼歯は交換せず, 乳歯が永久歯化したものであることが, 第1乳臼歯交換中の個体の存在, 導帯孔 (代生歯がこの孔に誘導される) の存否, ソフトX線写真などから明らかとなった。
ヒミズの上顎小臼歯の交換様式は, ヒメヒミズとまったく同じである。この種の下顎小臼歯は3本であり, 第1小臼歯が退化消失している。下顎乳臼歯のうち, 最前方に位置する第2乳臼歯は交換せず, 乳歯が永久歯化したものであること, 第3, 第4乳臼歯はそれらの代生歯と交換することなどが, 導帯孔の存否やソフトX線写真から確認できた。
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