抄録
ストレプトゾトシンによって誘発される糖尿病ラットの顎下腺, 舌下腺および耳下腺において, それらのコレステロール含量およびコレステロールへの〔1-14C〕酢酸の取り込みを測定した。糖尿病ラットの顎下腺では, 放射性酢酸のコレステロールへの取り込みの低下と腺成長の遅延が見られた。舌下腺の成長と放射性酢酸のコレステロールへの取り込みはインシュリン不足に比較的影響されなかった。耳下腺重量は糖尿病ラットで増加傾向を示したが, 放射性酢酸のコレステロールへの取り込みは著しく減少した。これらの結果は, 三大唾液腺のコレステロール代謝はインシュリン不足に対して異なった応答をすることを示唆する。