29 巻 (1987) 1 号 p. 63-81
国内7地域より分離した単純ヘルペスウイルス1型 (HSV-1) 総計215株について, 感染細胞DNAの制限酵素BamHI切断パターンにより, そのゲノム構造を標準株F株と比較した。その結果, (1) 各分離株間で大きさに差異の見られた断片は, ユニーク部ではD, G, J, M, Xであり, ユニーク部と反復配列部とにまたがる断片では, B, E, N, Zであり, 反復配列部に含まれる断片は, S, K, P, Yであった。 (2) A, M, R, O, Iの5断片に新切断点の獲得がみられた。また, AとA', TとJ', GとV, WとK', DとH, OとI, I'とF, YとNおよびZとY間の9ヵ所に切断点の欠如を認めた。 (3) 切断点の変異が認められた144株中, 主な変異はW・K'接続断片の出現した86株, Oに新切断点がみられた31株, a1, a2・A'およびD・Hが同時に出現した25株であった。 (4) 切断点変異のうち最も高い出現率を示したW・K'接続断片について地域別に分布状態を比較したところ, 札幌市と鳥取県, 札幌市と高松市, 秋田県と鳥取県, 秋田県と高松市のそれぞれにおいて有意差を認めた。これらの結果から, HSV-1のゲノム構造と分離地域との関連性が示唆された。