歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
The incidence and expression of Carabelli complex in Malawians and Japanese
Masashi SakumaKazuharu MineTakahiko Ogata
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1988 年 30 巻 4 号 p. 545-549

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抄録

Carabelli complex (Robinson, 1956) は, 上顎大臼歯近心舌側咬頭の舌側面に現れる溝状, 小窩状あるいは結節状の形態を総称したものである。本稿では, 中東アフリカに居住するマラウィ人および日本人から得られた硬石膏模型を用いて, 上顎第1大臼歯のCarabelli complexを観察し, 出現頻度を他集団と比較した。分類はDahlbergの標準模型P-12に基づき, Alvesaloら (1975) の規準に従った。マラウィ人におけるCarabelli complexの総出現率は, ヨーロッパ人や南アフリカ白人と大差なく, コーカソイド集団の示す変異域に明らかに含まれていた。一般に, この形質はコーカソイド集団に高率に出現するといわれ, コーカソイドを特徴づける1形質と考えられているが, 今回マラウィ人を含むネグロイド集団との問には著しい頻度差は認められないことが示唆された。
一方, 日本人におけるCarabelli complexの出現は混血のないモンゴロイド集団と同様に, ネグロイド集団やコーカソイド集団より明らかに低率であった。日本人におけるこの結果は, 他の分類法を用いた従来の諸報告とほぼ一致していた。

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© Japanese Association for Oral Biology
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