36 巻 (1994) 2 号 p. 101-125
急速凍結置換, 乾式乳剤貼付法を用いて, ラット切歯のエナメル質形成野, および成熟野における32P-リン酸の動態をChemography発生に留意しつつ検索した。
16日齢ラットにエーテル麻酔下でH3 [32P] O4の水溶液を注入し一定時間後に断頭, 切片を無水的に作製した。切片上をコロジオン膜で被覆してから乾式法で乳剤を貼付し露出後, 現像, 検鏡した。軟組織上および硬組織上での銀粒子数の計測ならびに統計処理を行い, 銀粒子の分布の経時的変化を調べた。
その結果形成期では, 32Pはエナメル器の細胞層を急速に通過してエナメル質に達し全層にわたって急速に拡散する一方で, 表層から深層へのゆっくりとした移動様式も存在することが明らかとなった。また成熟期では, 32Pはエナメル器の細胞の制御をうけずにエナメル質に急速に達し, エナメル質への32Pの添加量とその経時的変動は成熟期エナメル芽細胞の形態変化に密接に関連することが明らかとなった。