歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
Changes of the Rat Dentin Matrix Proteins Affected by Long-term Administration of Hydroxyethylidene-1, 1-bisphosphonate (HEBP)
Yoshiyuki WadaRyuichi FujisawaYoshinori Kuboki
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2003 年 45 巻 6 号 p. 428-436

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抄録

ビスホスホネートは, 石灰化組織の形成や吸収を抑制することが広く知られている. しかし, 石灰化組織においてビスホスホネートがリン酸カルシウム沈着やマトリクス合成にどのように働いているのかは明らかではない. ビスホスホネートを投与された硬組織を調べるためにいくつかの組織学的な試みがなされてきた. 今回, われわれは生物学的石灰化のメカニズムを研究するためにビスホスホネートを用い, その作用を考察した.
10mg P/kgのHydroxyethylidene-1, 1-bisphosphonate (HEBP) を7週間ラットの皮下に注射投与した. その後ラットの切歯を取り出し象牙質のマトリクス蛋白質を生化学的に分析した. HEBPを投与されたラット切歯の石灰化の程度は対照群ラットに比較して減少した. しかしマトリクス蛋白質の量は実験群のラットにおいて相対的に増加した. 象牙質独特のリン蛋白であるホスホホリンも実験群のラットにおいて増加した. にもかかわらず, 象牙質のほかの非コラーゲン蛋白の組成は本質的にはHEBP投与により変化しなかった.
ビスホスホネートによる石灰化の抑制は, 非コラーゲン基質蛋白の合成の抑制によるものではなく, 主にリン酸カルシウム沈着の抑制によるものと考えられる. さらに, ビスホスホネートによりホスホホリンの合成は促進される可能性がある.

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© Japanese Association for Oral Biology
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