日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌
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待ち行列問題の連続モデルを利用する近似解法II : 複数窓口有限待ち行列
須永 照雄Shyamal Kanti Biswas西田 知照
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1982 年 25 巻 2 号 p. 113-128

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抄録
待ち行列問題の近似解法として、連続モデル、すなわち拡散方程式を利用する方法は、すでに多く論じられている。しかし、殆ど単一窓口で、しかも過密輻鞍に関するものである。著者らはさきに、必ずしも長い待ち行列を有しない複数窓口待ち行列問題に対し、連続モデルを利用する方法を発表した。ここでは待ち場所に制限のある複数窓口システムヘの応用を述べてある。拡散近似法は到着間隔やサービス時問分布の平均と分散のみに関係するので、この方法は一般の分布の場合への適用可能性をもっている。連続化されたシステ ム内客数xについての制限をmとすると、x&ange;m-1の場合に到着した客はシステムに入ることができるので、入力平均は到着率λと等しい。よって0&ange;x&ange;m-1の範囲では、待ち場所に制限のない場合と同じ取扱いができる。x=mのときは、到着した客はシステムに入ることができず立去ることになる。この事情を連続モデルの立場より表現すると、m-1<x&ange;mの範囲で入力平均はλ(m-x)となる。よってxの増加率の平均はF(x)=λ(m-x)-μs、増加率の分散はD(x)=λ(x-m)/l+μs/kとなり、拡散方程式が尊びかれる。ここで、lとkはアーラン分布のとき位相数に相当するパラメーターである。拡散方程式の解&fnof;(x)は区間(0、m)での積分値を1にすることにより確定する。かくてシステム内にn人の客のいる確率はP(n)=∫^<(n+。5)>_<(n-。5)>&fnof;(x)dx(1&ange;n<m)およびP(m)=∫^<m'>_<(m-。5)>&fnof;(x)dxとなり、システム内客数の平均はL_1=Σ^^m__<(n=1)>nP(n)と計算される。呼損失も同様の式で与えられる。上述の対応P(n)=∫^<(n+。5)>_<(n-。5)>&fnof;(x)dxはn=mのときと同様n=0に対しても成立しない。これは連続化された客数xは負にならないとして反射壁をx=0においたためである。しかし、P(0)=∫^<。5>_<-。5>&fnof;(x)dxの如き対応も自然な考え方といえる。そこで第二の案として、反射壁をx=-0。5とx=m+0。5におく。(-0。5、0)で入力平均をλ、出力平均を0とおくと、F(x)=λ、D(X)=λ/lとなる。(m、m+0。5)では入力平均0、出力平均μs、よってF(x)=-us、D(x)=μs/kとなる。このようにF(x)とD(x)は区間(-0。5、m+0。5)で与えられるので、拡散方程式の解はこの区間での積分値を1にすることにより確定する。今度はP(n)=∫^<n+。5>_<n。-5>&fnof;(x)dx(0&ange;n&ange;m)となり、L_2=Σ^^m__<n=1>np(n)と計算される。提案された近似式の有効性を言周べるため11種のアーランシステムについて、s=2〜10、m=s〜10s、ρ=0。3〜2。0に対し、L_1とL-2を計算し、厳密解またはシュミレーション解と比較した。
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© 1982 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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