日本視能訓練士協会誌
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一般講演
内斜視が自然軽快した本態性乳児内斜視の3症例
青葉 香奈今井 小百合長谷部 佳世子野宮 由紀子平井 美恵大月 洋渡辺 好政
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2009 年 38 巻 p. 157-163

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抄録

目的:内斜偏位が変動または自然減少したため、手術を施行せずに経過観察を行った本態性乳児内斜視症例の特徴をまとめること。
対象と方法:2006年4月~2008年10月の間に当院および岡山大学病院眼科で、眼鏡装用と遮閉法のみで経過観察を行った本態性乳児内斜視3例(初診時年齢2歳未満、経過観察期間4年以上)。視力・屈折検査、眼位検査、眼球運動検査、両眼視機能検査、立体視検査をおこなった。遮閉法は交代固視が不能な場合及び非優位眼の弱視化を防ぐ目的で、健眼あるいは交代遮閉を指示した。斜視角は、Hirschberg法、Krimsky法、交代プリズム遮閉試験で測定した。また視運動性眼振の非対称性の有無を調べた。
結果:初診時の内斜偏位は30-50△であった。最終検査時の遠見内斜偏位は-4-20△、近見内斜偏位は0-16△で、近見内斜偏位は平均29.7△減少した。全例1歳5か月~1歳11か月の間に内斜偏位の減少あるいは眼位の明らかな変動が認められた。全例に共通した臨床所見は、交代性上斜位、両眼下斜筋過動、視運動性眼振の非対称性であった。1例には潜伏眼振と斜視弱視を認めた。
結論:臨床的特徴として全例に交代性上斜位、両眼下斜筋過動及び視運動性眼振の非対称性を認めた。また、1歳半頃から2歳までに内斜偏位の減少あるいは眼位の変動が認められたため、特にこの時期には注意深い経過観察が必要である。

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© 2009 日本視能訓練士協会
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