抄録
目的:視覚誘発電位検査(以下VEP検査)が、診断及び経過観察に有効であった、小児視神経炎3症例を報告する。
症例:症例1:5歳女児。視力低下により、近医受診するも眼底所見に乏しく全身疾患精査のため当科紹介される。初診時視力、両眼とも(0.01)。Flash-VEPにて、著明な振幅の低下を認め球後視神経炎の診断を確定し、ステロイドパルス療法を施行した。視力回復後も経過観察を継続している。
症例2:10歳女児。右眼球後視神経炎疑いにて当科紹介される。初診時視力、右(0.03)左(1.2)。ステロイドパルス療法を施行し、視力は右(1.0)と回復するが、Pattern-VEP(以下P-VEP)では、右眼の振幅低下、潜時の遅れといった著明な左右差を認め、経過観察を継続している。
症例3:10歳女児。右眼視神経炎疑いにて当科紹介される。初診時視力、右(0.03)左(1.2)。P-VEPにて、右眼波形消失を認め、右眼視神経乳頭炎の診断を確定した。ステロイドパルス療法後、視力、P-VEPとも左右差を認めないまでに回復し、経過観察を終了した。
結論:視神経炎は、眼底・瞳孔反応所見等で診断が可能であるが、眼底所見に乏しく、自覚的検査に限界がある小児の球後視神経炎の場合、VEP検査を追加することで、確定診断に結びつけることができたと思われた。また、視力回復後もVEPを測定することで、自覚的検査ではわからない視神経炎後の症状を把握することができた。