2014 年 43 巻 p. 107-111
【目的】小児白内障の中でも片眼性先天白内障の術後の視力については予後が悪いとされている。当院における片眼性先天白内障術後無水晶体眼の弱視治療の長期経過を検討する。
【対象】平成14年3月14日から平成24年3月31日までに当院にて白内障手術を施行した104例中の先天白内障89例のうち、片眼性術後無水晶体眼が15例であった。その中で弱視治療を開始し、全身疾患及び白内障以外の眼疾患がなく、5年以上経過を追えることが出来た5例(手術時年齢0歳5か月~1歳5か月 平均11.4か月)を対象とした。
【結果】術後に5例全例にハードコンタクトレンズ(以下HCL)による屈折矯正と健眼遮閉を指示した。HCLの装用も健眼遮閉も困難だった1例の術後最終視力は(0.01)であった。HCLの装用は良好だったが健眼遮閉を指示した時間どおり行うことが出来なかった2例の術後最終視力は(0.01)であった。それに対し、HCLの装用が良好で健眼遮閉も指示どおり行うことが出来た2例のうち、1例の術後最終視力は(0.05)、もう1例は(0.4)だった。
【結論】今回5年以上の経過を追ってみたところ、健眼遮閉のコンプライアンスの良否が術後視力に大きく影響していることが分かり、その重要性を再認識することが出来た。片眼性先天白内障の術後は見にくさから健眼遮閉が困難である為、指示どおりに出来ないことが多い。しかし、健眼遮閉を行えば視力向上につながることを保護者にきちんと説明していくことが重要と感じた。