日本視能訓練士協会誌
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一般講演
エゴグラムからみた視能矯正専攻学生の成長過程
―1年次と4年次のエゴグラムの比較―
難波 哲子小林 泰子山下 力田淵 昭雄
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2014 年 43 巻 p. 193-200

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抄録

【目的】同一学生の1年次と4年次の自我状態の変化を検討する。
【対象および方法】調査対象は平成20年度~平成22年度視能矯正専攻入学生のうち89名(女性83名、男性6名)、平均年齢は1年次が18.4歳、4年次が21.3歳であった。調査方法は、新版東大式エゴグラムⅡ®(TEG)を用いて、1年次は5月、4年次は実習終了後の7月に説明後同意の得られた学生に集団で行なった。
【結果】TEGの各項目尺度別平均値は、1年次、4年次の順に、支配的親(CP)は10.1、9.9、養育的親(NP)は14.6、15.6、成人(A)は8.9、9.7、自由な子ども(FC)は12.7、12.8、順応した子ども(AC)は14.1、14.8であり、1年次に比べて4年次には「NP」が有意に高くなっていた(p<0.05)。1年次、4年次ともに「NP」と「AC」が高く、「CP」と「A」が相対的に低いN型を示した。基本的構え(OKグラム)では、1年次、4年次ともに自己否定・他者肯定型が多かった。TEGパターン分類で最も多いのは、1年次ではAC優位型が25名(28.1%)、4年次ではN型Ⅰが18名(20.2%)であった。
【結論】視能矯正専攻における態度育成の教育では、1年次からもっている、医療職に必要とされる「NP」を高値に保ち続けると同時に、成人の「A」が高く機能するように育つよう教育的配慮の必要性が示唆された。

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© 2014 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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